プロジェクト研究:令和3年度

研究テーマ名 趣旨・内容

雇用システムに関する研究

産業構造や人口構造が大きく変化する中で、日本の長期雇用システムはどのような現状にあり、どのような方向に向かっているのか、企業、労働者、社会全体など多様な視点からのアプローチで分析に取り組み、日本の雇用システムの現状と変化を俯瞰したうえで、今後の雇用システムのあり方について検討する。

令和3年度は、個人を対象に実施した職業キャリアと生活等に関するアンケート調査の更なる分析を行うとともに、企業調査については、ヒアリング調査を通じて企業内人材の機能分化や人事制度の複線化への変化を把握する。また、新型コロナウイルス感染症による経済、雇用・労働への影響や対策について、諸外国の動向も含め情報収集を行うとともに、労働者調査及び企業調査等により分析する。

人口・雇用構造の変化等に対応した労働・雇用政策のあり方に関する研究

 

高齢化や人口減少が急速に進行するとともに、非正規雇用労働者が依然として高い割合を占める中、生涯現役社会の実現や非正規労働者の処遇改善等について、施策の推進に資する調査研究を行い、政策的 インプリケーションを提示する。

令和3年度は、企業および60歳代の個人を対象に実施した高齢者の雇用・就業に関するアンケート調査の二次分析を踏まえ、高齢者雇用の現状と課題に関する取りまとめを行う。派遣労働研究においては、派遣労働者の雇用安定やキャリア形成支援、公正な待遇確保等について定められた改正労働者派遣法の効果を検証する。さらに、就業構造基本調査の特別集計を用いて労働市場の構造変化と非正規労働者の正規転換とを関連づけた分析を行う。

技術革新等に伴う雇用・労働の今後のあり方に関する研究

AI、IoT等急速な技術革新の進展や労働力需給構造の変化など経済・社会の大きなトレンドを踏まえ、雇用・労働の今後の動向や地域社会の雇用機会について展望するとともに、将来に向けた政策的インプリケーションを提示する。

令和3年度は、自動化技術が雇用に与える影響を推計するための個人を対象としたアンケート調査を実施するとともに、政府統計を用いた労働生産性の計測、地域と雇用に関する現状の実証的把握・分析等を実施する。

働き方改革の中の労働者と企業の行動戦略に関する研究

働き方改革に向けて、労働時間制度等人事管理のあり方、女性の活躍推進、育児・介護とキャリアの両立など、労働者・企業双方の行動戦略の課題を摘出し、雇用の質の向上に資する政策的インプリケーションを提示する。

令和3年度は、労働安全衛生総合研究所との共同研究(過労死等による労災の事案分析等)に継続して取り組むとともに、管理職の労働時間管理・職場マネジメントの調査結果を分析・考察するほか、企業の賃金制度等に関するヒアリング調査を実施する。また、仕事と育児・介護の両立に関する調査研究については、これまでの研究で得られた知見を国際学会を通じて海外に発信する。

多様なニーズに対応した職業能力開発に関する研究

職業能力の高度化に向けた多様なニーズを把握・分析し、国全体としての職業能力開発インフラのあり方や新たな産業領域等における人材育成、若年者が円滑に職業へ移行しキャリアを形成する仕組み等について政策的インプリケーションを提示する。

令和3年度は、30歳代から50歳代前半までの「ミドルエイジ」の転職活動や転職後のキャリア形成、企業の中途採用の実態等について実施したヒアリング調査、アンケート調査の結果をとりまとめる。若年研究については、第5回「若者のワークスタイル調査」結果をとりまとめ、過去調査との比較を踏まえ、若者の働き方の変化について分析・考察を行う。

全員参加型の社会実現に向けたキャリア形成支援に関する研究

生涯にわたるキャリア形成支援のあり方、就職活動に困難を抱える人の労働参加を進めるためのマッチングやカウンセリング、時代に応じた職業情報やツールの開発など、現場の実態に即した課題を摘出し、効果的な支援手法を提示する。

令和3年度は、職業情報提供サイト(日本版O-NET)掲載の約500職業の情報更新にかかる調査研究を行うとともに、同サイトに搭載する自己理解支援ツールの開発、大学生等を対象とした適性検査の開発、および新たな求職活動支援プログラムの開発等に取り組む。

労使関係を中心とした労働条件決定システムに関する研究

働き方の多様化の中で進行する労働者概念や労使関係の変化、労働条件決定システムの変容などについて、国際比較も含めて実態を把握し、労働法・政策面での課題を摘出するとともに、今後の対応に向けた政策的インプリケーションを提示する。

令和3年度は、就業形態の変化に対応した労働法政策に関する日独および日英の比較法的研究、非典型的な就労形態に関する実態調査及び国際比較研究等に取り組むとともに、集団的労使関係に関するヒアリング調査等を実施する。