プロジェクト研究:令和5年度

研究テーマ名 趣旨・内容

労働市場とセーフティネットに関する研究

働く人がウェルビーイングを高めつつ安心・安全に活躍できる労働市場をどのように構築するかについて、雇用・労働の質の向上や健康確保、労働環境の整備、格差是正、効果検証に基づくセーフティネットのあり方の検討に資する政策的インプリケーションを提示する。

令和5年度は、労働力需給推計結果の公表に向けたデータ整備及び推計作業を進める。また、企業の人材戦略の変化が経営に及ぼす影響を把握するため、新設した企業基幹パネル調査について第1回調査結果の分析に取り組むとともに、第2回の実査を行う。個人の就業・生活・健康・ウェルビーイング等については、個人パネル調査の第1回結果の分析に取組むとともに第2、3回の実査を行う。なお、各プロジェクト研究それぞれで実施している政策効果検証に係る調査研究については、本プロジェクトにおいてテーマ横断的に取り組む。

職業構造・キャリア形成支援に関する研究

 

生産活動期間の長期化や産業・職業構造の変化の中で、生涯にわたる主体的なキャリア形成支援のあり方、転職希望者の労働移動や就職活動に困難を抱える人の労働参加を進めるための効果的なマッチングやカウンセリング、デジタル化時代に対応した職業情報の整備や支援ツールの開発など、職業相談現場や求職・求人両者のニーズ・課題に即した効果的なキャリア形成支援・職業相談手法を提示する。

令和5年度は、日本版 O-NET(厚生労働省職業情報提供サイト【job tag】)に掲載する職業情報データの更新及びキャリア支援ツールの改訂等を進める他、企業で働く労働者のキャリアコンサルティングに対するニーズ把握のためのアンケート調査、ハローワーク利用者等求職者を対象とする求職活動の量・質の再就職までの期間への影響についてのアンケート調査等を実施する。

技術革新と人材開発に関する研究

職業能力の高度化に向けた多様なニーズを把握・分析し、職業能力開発インフラのあり方や新しい産業領域における人材育成について政策的インプリケーションを提示する。

令和5年度は、日本版 O-NET と国勢調査のデータを使用した二次分析による属性別のタスク分布の変化に関する分析、複数の政府統計を用いた賃金と労働生産性の乖離についての計測・分析を行う一方、技術革新による就業者の仕事やキャリア形成の変化、企業横断的な人材育成の先進事例等についてヒアリング調査を行う。また、若年者雇用については地方版ワークスタイル調査結果の分析、若者の離職状況・キャリア形成のアンケート調査に加え、就職氷河期世代の生活・仕事の現状と課題に関するヒアリング調査を行うとともに、デジタル人材の採用・育成・資格と処遇に関する企業アンケート調査を実施する。

多様な人材と活躍に関する研究

高齢者就業や社会貢献活動、若者のワークスタイルの変化、ジェンダー間や就業形態間の格差、非正規労働者の処遇改善などの課題を抽出・分析し、政策的インプリケーションを提示する。

令和5年度は、高年齢者の就業・雇用状況について、「中高年縦断調査」「労働力調査」の個票データの二次分析及びシニア層の従業員の安全、健康の取り組みについて企業ヒアリング調査を実施するとともに、令和 4 年 10 月に施行された労働者協同組合法等を踏まえ、ワーカーズコレクティブなどの実態把握のためのヒアリング調査を行う。また、「子育て世帯全国調査(第6回)」の二次分析を進めるとともに、非正規労働者・多様な正規労働者の活用・就業実態に関する統計分析を行う。

多様な働き方と処遇に関する研究

労働時間、賃金、仕事と育児・介護の両立、という従来取り組んできたテーマに、テレワーク、兼業・副業といった柔軟な働き方に関する視点を加え、企業・労働者双方の抱える課題を抽出し、ワークライフバランスの実現に資する政策的インプリケーションを提示する。

令和5年度は、企業における労働時間等の職場・就業管理に関するヒアリング調査、男性の育児・介護と働き方に関する関連既存アンケート調査結果データの二次分析や国際比較研究、企業における賃金・処遇改善の好事例の収集等を実施する。外部機関との連携では、引き続き労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターとの共同研究を行う。

多様な働き方とルールに関する研究

多様で柔軟な働き方における労働者概念や労使関係の変容について、国際比較を含めて実態を把握し、労働法・政策面の課題を摘出するとともに、新しい時代に相応しい政策的インプリケーションを提示する。

令和5年度は、解雇無効判決後の原職復帰の状況等を把握するため、弁護士アンケート等を実施するほか、働き方改革等、近年の雇用・労働法政策の動向を踏まえた個別労働関係法に関する調査研究を行う。また従業員代表制の好事例の収集など労使コミュニケーション等に関するヒアリング調査等を実施するとともにOECDとの共同研究(AI技術導入が職場に与える影響に関するヒアリング調査の国際比較分析)を行う。