JILPTリサーチアイ 第92回
フランスにおける労働者のリスキリング法制

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労働法・労使関係部門 研究員 岩堀 佳菜

2026年6月3日(水曜)掲載

Ⅰ はじめに

近年、労働者のリスキリングに対する実務的・学術的関心が高まりをみせている。その背景には、働き方の多様化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展といった構造的変化があり、こうした傾向は諸外国においても広く共通している。このような中で、日本においては、人材開発支援助成金制度や教育訓練給付金制度など、労働者のスキル向上およびキャリア形成を支援する既存の制度の充実が図られてきた。

他方で、諸外国に目を向けると、それぞれの雇用システムや労働市場の状況に応じた多様なリスキリング(継続職業訓練)制度が設けられている。中でもフランスは、労使代表による協議を基礎としつつ、国家が主導的な役割を果たしながら職業訓練[注1]政策を展開してきた国として位置づけられる。また、同国においては職業訓練が一種の「市場」を形成している点にも特徴があり、その制度的・実務的意義は極めて大きいものと評価できる。

このような問題意識のもと、筆者はこれまでフランスにおけるリスキリング制度に関する検討を進めてきたところであり、このたびJILPTから、ディスカッションペーパー26-03「フランスにおける自営業者の職業能力開発法制」(以下、DP26-03という。)を取りまとめ、公表した。DP26-03では、フランスにおいて、自営業者が職業能力を維持・向上させるための法制度としていかなる制度が設けられており、各制度が対象とする自営業者層およびその政策的意義がいかなるものであるかについて明らかにした。

しかしながら、自営業者を対象とした当該制度は、いわばリスキリング制度における「応用問題」といえる。すなわち、雇用労働者を対象とする制度の仕組みを理解することで、自営業者に関する制度も把握しやすくなるものと思われる。

そこで本稿は、フランスにおけるリスキリング制度のうち、DP26-03の理解に資すべく、雇用労働者を対象とする法制度について、その概要と特徴を示すこととしたい[注2]

Ⅱ リスキリング制度の枠組み

労働者を対象とするリスキリング制度[注3]は、以下の系統図のように整理できる。おおまかに言えば、使用者主導訓練、労働者主導訓練、その他の訓練制度に区分することができ、各区分において具体的な仕組みが存在する。これらの制度の相互関係に関しては、労働者を対象とする訓練は使用者が第一義的な責任を負う。したがって、使用者の訓練義務の内容を超える部分について、労働者は各種制度を活用して訓練を受講することができる。言い換えれば、使用者の義務に含まれる訓練については、その実施責任はあくまで使用者にあり、当該訓練を労働者が使用者に代替して実施することは予定されていない。

継続職業訓練(formation professionnelle continue)
	使用者主導訓練
		労働契約上の訓練義務
		企業内能力開発計画
	労働者主導訓練
		職業訓練個人口座制度(CPF)
	その他の訓練制度

出所:筆者作成。

このように見ると、(日本と比較した場合の)フランスのリスキリング制度の特徴は、①使用者がその雇用する労働者に対して行う訓練義務が労働契約上の具体的義務として課されていること、②労働者個人が自由に活用できる、一種の訓練バウチャー制度として職業訓練個人口座制度が設けられていること(日本の教育訓練給付金制度との異同についてはⅣで述べる。)、および、③その他の制度として、企業内外における職業移動を目的とした訓練活動の実施にかかる法制度が整備されていることにある。なお、上記①~③の区分にかかわらず、労働者を対象とするリスキリング制度に関する財源は、基本的に使用者にその支払いが義務づけられる職業訓練拠出金によりまかなわれる。また、利用する制度や具体的な訓練内容によっては、公的機関が負担する場合もある。現在は、社会保険料や各種拠出金の徴収を担う社会保障及び家族手当保険料徴収連合(Union de Recouvrement des Cotisations de Sécurité Sociale et d'Allocations Familiales、以下「URSSAF」という。)が上記拠出金を徴収している。

以下では、各制度の内容を示し、フランスにおけるリスキリング制度の特徴を明らかにする。

Ⅲ 使用者主導の訓練

法律上、使用者主導の訓練には、使用者の労働契約上の義務(訓練義務)に基づいて実施される訓練と、企業において作成される能力開発計画に基づいて実施される訓練が存在する。

第一に、使用者がその雇用する労働者に対して行う訓練義務については、労働者をその職務に適合させる義務、および、とりわけ雇用や技術、組織の変化の観点から、雇用に従事する労働者の能力(capacité)の維持に配慮する義務が存在する。これらの義務は、当初、1990年代以降の(とりわけ解雇の事案において使用者の労働者に対する訓練実施の必要性が問題となった)裁判例[注4]において、労働契約上の義務として存在することが明らかにされ、その後、労働法典に明記された(労働法典L.6321-1条)[注5]。これらの義務は、とりわけ解雇時にその違反の有無が争われるが、裁判例においては、当該義務違反は、解雇の違法性判断とは別個に、すなわち、労働者に必要な訓練を実施していないことそれ自体が義務違反を生じさせ、損害賠償請求の根拠となることが示されている[注6]。この点で、日本のいわゆる整理解雇法理における解雇回避努力義務とは性質を異にするものと解される。

第二に、上記義務に基づく訓練活動は、必要に応じて企業が能力開発計画(plan de développement des compétences)を策定することによっても実施されうる[注7](L.6321-1条5項)。当該計画の作成自体は使用者の義務ではないが、上記義務の内容を具体化するという意味において、その作成が実務上推奨されているようである[注8]

これら使用者主導の訓練のうち、仕事または職務の遂行の条件となる(conditionner)あらゆる訓練活動は労働時間として取り扱われ、その間についても企業により報酬が支払われる(L.6321-2条)ほか、これに該当しない訓練活動についても、例外[注9]を除き、労働時間を構成する。この例外に該当する場合は、労働者が当該訓練活動の受講・実施を拒否しても非行(faute)および解雇事由とならない(L.6321-7条)が、上記に該当する使用者主導の訓練は、使用者の業務命令として行われるため、通常は当該訓練活動を拒否することはできない。

Ⅳ 労働者主導の訓練

現在、労働者主導の訓練制度として位置づけられているのは、職業訓練個人口座制度(Compte personnel de formation、以下「CPF制度」という。)[注10]である。

CPF制度は、2013年6月14日の雇用安定化法[注11]および同年の全国労使協定[注12]を背景として、2014年3月5日の法律[注13]により導入された、職業訓練のための労働者個人に対する給付制度である。同制度は、一定年齢に達すると自動的に開設され、引退まで、個人の口座として保有し続けることができる。労働者は、自身の口座に積み立てられた権利(金額)を労働時間外であれば使用者の同意なく自由に行使することができ、受講する訓練の内容についても、RNCP(Répertoire National des Certifications Professionnelles、全国職業資格一覧)に登録されている資格の取得を目指す訓練を中心に、専用アプリや公式サイトで対象となる訓練を確認し、自由に選択することができる。CPF制度の財源は、基本的に使用者にその支払いが義務づけられている上述の拠出金であるが、制度利用の際、乱用防止の観点から、最初の150ユーロは労働者本人の自費負担となる[注14]。当該拠出金は、URSSAFが徴収した後、フランス能力開発機関(France Compétences)で集約され、そのうち、CPF制度の財源分については、フランスの公的金融機関である供託局(Caisse des dépôts et consignations)が管理および支払いを行う。また、訓練プログラムによっては、公的機関が費用を負担したり、使用者が追加拠出する場合もある。

制度の導入当初は、16歳以上のすべての労働者が、毎年一定時間の訓練時間を個人の権利として積み立てられる制度として誕生した[注15]が、その後、金銭単位での権利付与方式に変更された。現在、年間の総労働時間が法律または協約により決められた労働時間の半分以上であった場合は年間500ユーロが上限5,000ユーロまで各自の口座に積み立てられる。また、年間の総労働時間が決められた労働時間の半分未満であった場合には、1年ごとに、実際の労働時間に比例した権利(金額)が積み立てられる。転職や失業で当人の置かれる状況が変化した場合にも職業訓練の権利が引き継がれる点、すなわち、個人単位で保有される制度であるため、ポータビリティが確保されている点に特徴がある。

CPF専用アプリ

訓練メニューの検索画面

出所:公式サイト(Mon Compte Formation新しいウィンドウより。

また、(本DPの検討対象である自営業者と比較した場合、)労働者のCPF制度と接続した訓練休暇の仕組みが設けられている点が大きな特徴である。現在、従来の職業訓練個人休暇制度(CIF)の廃止に伴い導入された職業移行計画制度(Projet de transition professionnelle、以下「PTP制度」という。)[注16]により、労働時間中に「職業移行」を目的とした訓練受講を行うことを労働者が希望する場合に、一定の条件において、公的負担および自らのCPFに積立てられた権利(額)を用いて訓練を受講し、休暇を取得することができる。休暇取得中の賃金は、労働者が得ていた賃金額に応じて、その全部又は一部が使用者により労働者に支払われ、地域別の職際労使委員会(現在は「Transitions Pro」と呼ばれる機関)により当該使用者へ払い戻される仕組みとなっている。そのため、PTP制度を利用する際には、当該機関の承認を得るなど、一定のプロセスを踏む必要がある。

その他、CPF制度の特徴として、職業能力水準[注17]がレベル3の水準以下の労働者については、その他の労働者に比べてより多くの額(少なくとも1.6倍)が当該労働者のCPFに積み立てられる点(L.6323-11-1条)や、従業員数50名以上の企業においては、8年ごとに、労働者が職業キャリア面談[注18]を受けていない場合、かつ、少なくとも1回の訓練を受けていない場合、当該企業は、当該労働者のCPFに追加拠出を行わなければならない点(罰則あり)などが指摘できる。

以上がCPF制度に関する紹介であるが、個人に直接、訓練費用を補助するという点では、日本における教育訓練給付金制度と類似する制度とみることもできる。しかしながら以下の点で重要な差異がある。すなわち、CPF制度は①失業(雇用)保険加入の有無が制度利用の可否に影響しない(一定年齢に達することで、手続きを経れば口座が自動的に開設される)、②一定の上限の下、毎年口座に一定額が積立てられる仕組みであり、かつ、所定の訓練提供機関および訓練メニューの範囲において、自身の口座に積立てられた額を自由に活用できる、③休暇制度を利用する場合、一定の賃金補償がある、④労働者層に応じて積立てられる額が異なる、⑤専用のアプリ等を通じて、労働者が訓練受講を直接「購入する」仕組みである(↔費用の払戻し。PTP制度を除く。)。このように見ると、フランスにおけるCPF制度は、職業訓練を一種の「権利」と捉える発想に基づく、普遍的なキャリア形成支援ツールとして位置づけることができる[注19]

Ⅴ その他の訓練制度-職種転換期間制度(période de reconversion[注20]

その他の訓練制度には多様な制度が含まれるが、ここでは近年新たに創設された職種転換期間制度について紹介する。

2025年10月24日の法律[注21]により、企業内外における職種転換を望む労働者が、労使の合意に基づき、職業資格等の取得を目的に所定の訓練活動を実施するための制度として、職種転換期間制度(période de reconversion[注22]が導入された(2026年2月1日施行)。同制度の特徴は、企業内における職種転換のみならず、企業外への移行を伴う職種転換についても、労使の個別合意に基づくことを内容とする法制度として設けている点にある。それぞれ具体的にみていくと、まず、企業内における職種転換の場合には、労働契約はそのまま維持され、賃金は変更されない(労働法典L.6324-3条Ⅰ)。他方で、企業外において職種転換制度を利用する場合には、現在の労働契約は停止される一方、労働者は訓練活動を実施する受入れ先企業との間で、期間の定めのない労働契約または6ヵ月以上の期間の定めのある労働契約を締結する(L.6324-3条Ⅱ)。また、企業内外問わず、いずれの場合も書面による合意(協定の締結)が必要となり、当該制度の利用期間等を定める必要があるが、企業外の場合は、受入れ企業における試用期間の満了時に、元の企業に戻る際の方式についても記載される。実際、試用期間の満了後に、労働者と受入れ企業の双方が契約関係の継続を望む場合は、元の企業との労働契約は、法定合意解約(rupture conventionnelle[注23]に適用される方式にしたがい破棄されるが、どちらか一方が契約関係の継続を望まない場合は、労働者は元の企業において前職務またはこれと同等の職務に復帰する(L.6324-7条)。このほか、当該制度に基づいて実施される訓練活動については、150時間から450時間かつ12ヵ月以内の制限があるほか(L.6324-4条。ただし、企業別または部門別協定により、36ヵ月を超えない範囲で2100時間までを例外的に定めることができる)、当該期間中、労働者は労災および職業上の傷病に関する保護を定める社会保障法の適用を受ける(L.6324-5条)。さらに、訓練提供機関は、同制度を利用する労働者について、受講の条件としていかなる自己負担金の支払いも求めることはできない(L.6324-6条。ただし、CPF残高による支払いを除く。)。

このように、職種転換期間制度は、企業との労働契約関係を維持したまま、すなわち雇用保障を前提とした、職種転換の実現に寄与しうる制度である。これは日本における配転や出向を通じた能力開発に近い仕組みを、人事管理の一環としてではなく、一つの法制度として整備しているものといえる。

Ⅵ おわりに

以上、本稿は、フランスにおける労働者を対象とした職業能力開発制度の概要を示すことで、同制度の特徴を一定程度明らかにした。本稿においては、労働者が活用しうる職業能力開発制度を網羅的に紹介するには至っていないが、冒頭に触れたディスカッションペーパーとあわせて、フランスの制度について知るきっかけとなれば幸いである。

脚注

注1 フランスにおける職業訓練は、初期職業訓練(formation professionnelle initiale)と継続職業訓練(formation professionnelle contimue)の大きく2種類に分類される。前者は、就業前の若年者を対象とし、主として学校教育の枠組みにおいて実施される(管轄は国民教育省)。一方、後者は、労働者および失業者を対象とする(管轄は労働・連帯省(2026年4月時点))。

注2 リスキリング(継続職業訓練)制度に関する一般規定については、矢野昌浩「第5章 職業訓練制度と社会法-ポストCOVID-19の労働世界に向けて」『雇用・生活の劣化と労働法・社会保障法-コロナ禍を生き方・働き方の転機に』(日本評論社、2021年)130頁以下、岩堀佳菜「フランスの『職業の将来を自由に選択するための法律』の意義と役割(1)」早稲田大学大学院法研論集第186号(2023年)10頁以下を参照されたい。

注3 継続職業訓練に分類される制度には、求職者や学校教育修了後の若年者を対象とした制度も含まれる。代表的には、職業資格の取得や就労促進を目的として、16歳から25歳の若年者、26歳以上の求職者、および、積極的連帯収入(revenu de solidarité active)、特定連帯手当(allocation de solidarité spécifique)または障害者ならびに就労促進契約(contrat unique d'insertion)を締結する者に対する手当を受給している者を対象とする、熟練化契約(contrat de professionnalisation)がある(労働法典L.6325-1条以下)。

注4 適合義務に関する重要判例として、Expovit事件判決(Soc. 25 février 1992, no 89-41.634)。同判決については、野田進『労働契約の変更と解雇-フランスと日本』(信山社、1997年)337頁以下が詳しい。

注5 当該義務については、「解雇回避措置として求められてきたものをいわば前倒しで使用者に課すもの」と解される(矢野昌浩「キャリア形成・展開と職業訓練」ジュリスト1586号(2023年)30頁)。

注6 Soc. 23 octobre 2007, no 06-40.950.

注7 もっとも、当該計画に定められる内容は、上記義務に基づく訓練に限定されるものではなく、企業における広範な能力開発施策を対象としうるものである。

注8 企業における能力開発計画の作成割合を示す公式統計は管見の限り見当たらないが、フランスは、継続職業訓練の組織の責任者や担当部門を持つ企業、あるいは訓練に関する計画や予算を持つ企業の割合が62%であり、これは他のEU諸国と比較して最も高い国の1つである(Agnès Checcaglini et Isabelle Marion-Vernoux, Formation professionnelle en entreprise, la France se distingue de ses voisins européens, Céreq Bref 2024/2 N°450, p.2)。

注9 企業別協定、またはそれがない場合は部門別協定で定められた訓練活動で、その全部または一部が労働時間外に行われる場合(L.6321-6条1項1号)。また、労使協定が存在せず、かつ労働者の同意がある場合、訓練活動の全部または一部が労働時間外に行われることができる。ただし、労働者1人当たり年間30時間を上限とする(同項2号)。なお、労働時間外に行われる場合にも、当該労働者は労災および職業上の傷病に関する法的保護を享受する(L.6321-8条)。

注10 CPF制度については、岩堀佳菜「フランスにおける職業訓練制度の再構築―職業訓練個人口座制度に見る個人主導の制度化と普遍性の追求―」日本労働法学会誌139号(2026年5月刊行)230頁。

注11 Loi noo 504 du 14 juin 2013 relative à la sécurisation de l'emploi.

注12 Accord national interprofessionnel du 14 décembre 2013 relatif à la formation professionnelle.

注13 Loi noo 288 du 5 mars 2014 relative à la formation professionnelle, à l'emploi et à la démocratie sociale.

注14 2026年4月2日以降、150ユーロに増額された(Formation professionnelle -CPF : la participation forfaitaire obligatoire augmente | Service Publicnouvelle fenêtre)。

注15 すなわち、口座に積立てられた時間で受講できる訓練を選択する(結果的に、当該訓練の受講費用がCPF制度によってまかなわれる)。したがって、訓練休暇を取得することによって訓練受講を可能とする制度とは仕組みが異なる。

注16 PTP制度について詳しくは、岩堀佳菜「フランスの『職業の将来を自由に選択するための法律』の意義と役割(2)」早稲田大学大学院法研論集第187号(2023年)33頁以下を参照されたい。

注17 職業能力水準とそれに対応する学歴水準および職業資格については、労働政策研究・研修機構『欧米諸国におけるデジタル技術の進展を踏まえた公的職業訓練に関する調査―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス―』資料シリーズNo.259(2022年)88頁を参照されたい。

注18 同一企業に継続して雇用されているすべての労働者は、4年ごとに職業キャリア面談を受ける権利を有する。この面談は、労働者の業務評価を目的とするものではなく、当該労働者の現在の能力・スキルや状況を踏まえ、将来のキャリアや、それに必要な訓練および支援を話し合うものである。

注19 日本における教育訓練給付金制度は、雇用保険の被保険者等を対象として、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講・修了した場合に、その受講費用の一部が事後的に支給される仕組みである。すなわち、CPF制度のように個人ごとの訓練口座にあらかじめ一定額の権利が付与されるのではなく、受講者自身が訓練費用を負担し、受講後の支給手続きを経て、費用の一部が支給される制度である。また、支給率および上限額は講座区分等に応じて定められている。

注20 同制度については、フランス労働・連帯省ウェブサイト(La période de reconversion | Travail-emploi.gouv.fr | Ministère du Travail et des Solidaritésnouvelle fenêtre)も参照した(最終閲覧日:2026年4月8日)。

注21 Loi no 989 du 24 octobre 2025 portant transposition des accords nationaux interprofessionnels en faveur de l'emploi des salariés expérimentés et relatif à l'évolution du dialogue social.

注22 同制度は、従来存在した、職種転換または昇進のための交互訓練制度(reconversion ou promotion par alternance、Pro-Aとも呼ばれる。)および集団的移行制度(transitions collectoves)に取って代わった制度である。Pro-Aについては、岩堀佳菜「フランスの『職業の将来を自由に選択するための法律』の意義と役割(3)」早稲田大学大学院法研論集第188号(2023年)30頁、集団的移行制度については、柴田洋二郎「労働者主導で仕事の知識や技能の向上を目指す仕組み-フランスの職業訓練個人口座(CPF)の考察-」『労働法の正義を求めて-和田肇先生古稀記念論集』(日本評論社、2023年)702頁以下を参照されたい。

注23 フランスの法定合意解約については、細川良=古賀修平『フランスにおける解雇にかかる法システムの現状』労働政策研究報告書No.173(労働政策研究・研修機構、2015年)100頁以下が詳しい。