ドイツの国家公務員の働き方

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シリーズ第3弾は、日本とドイツの公務員制度に詳しい金沢大学の早津 裕貴准教授に執筆をお願いした。
早津准教授は、公務労働従事者を広く組織する「dbb官吏同盟・協約連合」の協力により、働く側の意見を聴取した上で、ドイツの公務員の労働時間やテレワーク等の柔軟な働き方の現状について、日本の公務員制度との違いも含めて、詳しく解説されている。なお、本稿はドイツの国家公務員の働き方に対する政府の公式見解や公務員全体の働き方を網羅したものではないことにご留意頂きたい。

(掲載日:2022年8月8日)

  1. はじめに
  2. ドイツ官吏の労働時間制度の特徴
  3. ドイツ官吏における労働時間制度の概要
  4. ドイツ官吏における労働時間制度の実態に関するQ&A
  5. ドイツ官吏における柔軟な働き方
  6. 育児休業等について
  7. おわりに

1.はじめに

今回の調査は、労働政策研究・研修機構からの委託の下、同機構の担当部からの基礎的な質問項目の提示に応じて実施した。

本企画では、日本の公務員、中でも「官僚」というイメージで語られることの多い国家公務員の長時間労働問題が主題とされていたことから(注1)、ドイツにおける比較対象としては、軍や警察等の権力的職務を除けば、日本でいうところの「官僚」のイメージで語られることの多い、公法上の特殊な地位にある官吏(Beamte)(ドイツには、もう一つの類型の公務労働従事者として、民間労働者と法的地位の基礎を同じくする私法上の公務被用者〔Arbeitnehmer im öffentlichen Dienst〕ないし協約被用者〔Tarifbeschäftigte〕がある)、中でも、連邦官吏の働き方(ドイツは連邦制国家であるため、州政府も存在しており、近時では各州が独自の規律を定める余地も拡大しているが、連邦に倣っていることもいまだある)に着目することとした(注2)

今回の調査に際しては、官吏・公務被用者を中心に、約130万人(ドイツにおける直近の公務労働従事者の総数は約500万人前後で推移している)を組織する、dbb官吏同盟・協約連合(dbb beamtenbund und tarifunion)の官吏担当部門(Geschäftsbereich Beamte)の協力を得た。

回答内容については、あくまで働く側からの一意見として参考にしていただければ幸いである。なお、以下の記述にあたっては、日本とは異なる側面を有するドイツ官吏の労働時間制度につき、筆者によって概要をごく簡単に紹介のうえ(注3)、インタビュー(メールでのやり取りを基にした回答)を整理しているほか、今回の企画の主旨に鑑み、日独で問題意識ないし認識に差異があると思われる事項については、―従前、筆者が現地調査で感じたことも踏まえ、やや自由に、印象や感想といったレベルのものも交えて―コメントを付すこととした。

本報告は、あくまで、現地からの回答を極力尊重しつつ、筆者が日本の現状に鑑みて、これをいかに受け止めたかといった観点から叙述したものであるとともに(このため、引用も必要最小限にしている)、政府の公式見解や公務員の働き方のすべてを網羅したものではないことにご留意頂きたい。

2.ドイツ官吏の労働時間制度の特徴

日本との比較におけるドイツ官吏の労働時間制度の特徴は、超過勤務(Mehrarbeit)に際して、原則として、金銭による手当が予定されていない点にある(注4)

これは、ドイツ官吏の基本的地位は、憲法上の職業官吏制度の伝統的諸原則(基本法33条5項)の下に規律されているところ、中でも、職務専念義務(連邦官吏法61条1項1文)を背景として、「やむを得ない勤務上の事情がこれを必要とし、かつ、超過勤務が例外的場合に限定されている場合には、官吏は、金銭的な補償(Vergütung)なしに、所定の週労働時間を超えて勤務することを義務付けられる」(同法88条1文)とされていることによる。

この条項だけをみると、日本における戦前の官吏、ひいては、現在の(公立学校教員も含め、少なくとも一部にみられる)公務員の働き方のように、ドイツ官吏は、現在でも「無定量」の奉仕を強いられているのではないか、といった疑問が浮かぶ読者もいらっしゃるかもしれない。

しかし、現実には、超過勤務ないし長時間労働につき、憲法上の自己の人格の自由な発展に関する権利(基本法2条1項)や相当性の原則、またEU法の展開などを背景として、法制度上も様々な配慮がなされるとともに(注5)、実際にも、これに沿った運用が基本的にはなされているという。
以下、詳しくみていくこととしたい。

3.ドイツ官吏における労働時間制度の概要

詳細については紙幅の関係で省略せざるを得ないが、ドイツ連邦官吏の労働時間制度をごく簡単に整理すると、官吏の地位に関する基本法典である連邦官吏法や連邦官吏の労働時間に関する規則(以下、「労働時間規則」)等による具体的規律の下、以下のような基本構造となっている。

【労働時間の基本構造】

  • 所定の労働時間は、週当たりで平均して、44時間を超えてはならない(連邦官吏法87条1項)。

→ 現在では、所定の週労働時間(注6)は、41時間に設定(労働時間規則3条1項1文)。

  • 一日の労働時間の上限は、休憩時間を含めて13時間(同規則4条)。

+ 24時間毎に連続11時間の最低インターバル時間(Mindestruhezeit)を保障(同規則5条3項1文)。例外設定は、EU労働時間指令(2003/88/EC)に準拠(同項4文)。

※ EU労働時間指令(2003/88/EC)を反映したもの

  • 勤務上の理由が対立しない限り、最上級勤務官庁(典型的には各省庁)は、フレックスタイムを可能にすることができる(同規則7条1項1文)。清算期間は、最高12か月(同条4項3文)(注7)

※ 参考:日本の国家公務員の場合

  • 勤務時間は、休憩時間を除き、一週間当たり38時間45分(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律〔以下、「勤務時間法」〕5条1項)。
  • 各省各庁の長は、月曜日から金曜日までの五日間において、一日につき7時間45分の勤務時間を割り振る(同法6条2項本文)。
  • 各省各庁の長は、職員の申告を考慮して、公務の運営に支障がないと認める場合には、職員の申告を経て、四週間を超えない範囲内で週を単位として、一定期間につき、フレックスタイムとすることが可能(同条3項、人事院規則15-14第2条以下)。
  • 労働時間のインターバル規制はなし。

【超過勤務の基本構造】

  • 例外的場合における金銭的補償のない超過勤務の義務付け(連邦官吏法88条1文)。
  • 勤務上命令ないし承認された超過勤務が月5時間を超えた場合には、一年内に、所定の労働時間を超えた時間に応じて勤務免除(Dienstbefreiung)(「自由時間による調整(Freizeitausgleich)」と呼ばれることもある)を認める必要(同条2文)。
  • 例外的に、一定の職種(病院、警察、消防、学校等)につき、やむを得ない勤務上の理由により勤務免除を行うことができない場合には、官吏は金銭的な補償(Vergütung)を受けることが可能(同条4文、連邦超過勤務補償規則)。

※ 参考:日本の国家公務員の場合

  • 各省各庁の長は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において勤務をすることを命ずることが可能(勤務時間法13条2項)。
  • 正規の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた職員には、正規の勤務時間を超えて勤務した全時間に対して、勤務一時間につき、超過勤務手当を支給(一般職の職員の給与に関する法律16条1項)。
  • 各省各庁の長は、超過勤務を命ずる場合には、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない(人事院規則15-14第16条)。
  • 超過勤務を命ずる上限につき、月45時間、年360時間を基本としつつ、一定の場合に、月100時間、年720時間等とする例外(同16条の2の2)。

以上のような日独における労働時間制度の対比のみからすると、日本の方が所定労働時間は短いうえ、むしろ、ドイツの方が正面から「タダ働き」の余地を認めていることから、あたかもドイツの方が「働かせ放題」といったように感じる読者もいらっしゃるかもしれない。

筆者も、そのような余地が全くあり得ないではないことを一応念頭に置きつつインタビューを行ったが、回答の概要は以下の通りとなった(基本的に原語を尊重しているが、筆者が重複する内容を一部整理したり、一部意訳を施したりもしている)。

4.ドイツ官吏における労働時間制度の実態に関するQ&A

Q. 超過勤務の実態はどのようになっていますか?

A. (上記のような法制度の基本構造を説明のうえ、)どの程度、連邦・州におけるすべての官吏が超過勤務を行っているかに関する統計は存在していません。

Q. 超過勤務の主たる理由は何ですか?また、官庁や部署による違いはありますか?(たとえば、日本では、議会対応、特に議員の質疑や政府の答弁等にかかる準備が問題となっています。これは、議員からの依頼が夜になされ、公務員が早朝までに準備を行わなければならない、といったことがあるためです。)

A. ドイツでも超過勤務には多くの理由があります。たとえば、一時的に相当な業務量の増加がある場合、例としては、ドイツが議長国としてG7サミットを開催する場合や、各行政部門で新たな課題に対応する場合、また、人員不足の場合や、非常時における警察の動員(例:G7サミット)、大規模災害の場合などです。

また、ドイツ官吏においても、部門に応じて、短期間のうちに対応を要する業務があり、このことも超過勤務の要因になっています。ドイツでも、議会においては、議員から連邦政府への政治的課題にかかる回答・説明要求が存在しますし、政府は質問状には書面で答える必要があります。ただし、ご指摘のような、夜通しでの準備のようなことは、ドイツでは一般には行われていません。もちろん、例外的かつ特に緊急の場合には、ドイツでも官吏が短期間に応答しなければならない事態が生ずることを排除することはできませんが。

Q. 一日の労働時間の限度時間ないしインターバル時間は遵守されていますか?

ドイツでは、EU労働時間指令を基に、一日あたりの最高許容時間、また、24時間毎に連続11時間の最低インターバル時間が設けられています。また、所定の週労働時間は41時間であるため、日々の長時間労働は、限られた日にのみ問題となり得ます。もっとも、所定の週労働時間は、12か月平均での週当たりの労働時間であることから、一日一日をみると、確かに限度を超過することもあり得ます。ただし、この場合には、必ず(時間による)調整を要することになります。

Q. 超過勤務を理由とする健康問題はありますか?

A. もちろん、個別事案において、超過勤務を理由とした問題が生じ得るということを排除することはできません。しかし、一般的に、時間による調整に配慮した別のメカニズム(たとえば、一年内に、所定の労働時間を超えた超過勤務に応じて勤務免除を認めるという原則)があります。さらには、次善のものとして、一定の要件の下で、時間による調整の代わりに、金銭による補償も問題となり得ます。

Q. フレックスタイム制度は機能していますか?

A. はい。フレックスタイム制度は、連邦および州における多くの行政部門において、現在、通例(Regelfall)となっています。(以下、制度概要の説明)

【筆者コメント】

今回、筆者が労働組合に調査依頼をしたのは、「組合側」であれば、「タテマエ」よりも「ホンネ」として、制度の現実的運用における問題点がより回答に表れ易いであろうと考えたためであった。もっとも、実際には、―調査票の送付に際し、筆者は一定程度ドイツにおける制度を知っている、と前置きをしたものの―筆者が想定していた以上に、現行制度の説明と、それに沿って運用がなされている(特に、所定労働時間を超えることはあり得るが、基本的には、自律的・主体的な時間決定を可能とするフレックスタイム制度や勤務免除を通じた時間による調整、また、例外的な金銭補償によって適切に調整されている)、との回答にとどまった。あくまで推測の域を出ないが、この要因としては、以下が考えられる。

まず、そもそも長時間労働問題の次元が違うという点である(注8)

筆者がかつて2014年に、ノルトライン・ヴェストファーレン州のとある地方都市で現地調査を行った際、インタビュー回答者から、官吏の長時間労働に伴う健康問題に関する発言があり、それが深刻化している旨が厳しい表情で語られたことを記憶している。しかし、詳しく聞いていくと、その内容は、「今まではあまりなかった超過勤務が、週あたり数時間に及ぶ事例が生じつつある」といったものであった。

もちろん、ドイツにおいても例外がないわけではなく、官庁や部署によって、より深刻な問題が存在し得る可能性は否定できない。また、上記の回答についても、それが当地では深刻な問題であることに変わりは無いであろう。しかし、日本における「異常な」働き方の常態化とは、やはり「次元が違う」ように思われる(本調査に際しても、特に、日本における国会対応の現状を踏まえた回答については、緊急対応あるいは夜間勤務が余儀なくされる局面ではないのに、なぜ、といった雰囲気が感じられた。日本における国会対応との関係では、時間的余裕、公務員による準備の内容・必要量等、いずれにせよ課題があると言わざるを得ない)。

また、労使双方における基本的感覚として、法令に定められている以上、違法ないし異常・例外的な運用が常態化し、かつ、それが温存されているということ自体があり得ない、あるいは、仮に制度が機能不全に陥っているのであれば、(フレックスタイムのような形での官吏個人の自律的・主体的な決定を可能とする意味での労働時間の柔軟化やEU法のような国際秩序への対応等も含めて)常に是正が図られてきた、という感覚である。この背景には、実質的な労使協議の存在もあるように思われる。

ドイツにおいても、日本と同様、官吏については、日本でいうところの勤務条件法定主義が採用され、その基本的労働条件は、議会ないし当局側の一方的決定による。もっとも、現実には、官吏においても、法令の準備段階での関与権(Beteiligungsrecht)(連邦官吏法118条)を通じ、法令の制定・改廃に際しては、労働組合の上部組織が事前に情報提供を受け、意見を述べることができ、実質的な労使協議が行われているほか、公務労働従事者のもう一つの存在である公務被用者に至っては、協約自治・争議権の全面的な保障の下で、官吏法令の制定・改廃に先行して労使交渉を行っており、その結果が基本的には官吏の労働条件にも反映されているのが実情である(注9)

これら背景の下で、労働時間の問題に関しても、労使双方の立場ないし認識等を一定程度踏まえた法整備がなされるとともに、違法ないし異常・例外的な運用に対しても、一定の規制力が働いてきたということができるように思われる。そして、現在では、古典的ないし硬直的な労働時間法制の枠組みを超えて、フレックスタイムといった形で官吏個人の自律的・主体的な時間決定を可能にする枠組みも(適法に)広く用いられるとともに、後にみるテレワークについても、その実施・運用については労使合意が重視されるなど、労働者側が自律的・主体的に働き方を決定し、あるいは、その決定に関与できる枠組みもまた広まりをみせているのである。

5.ドイツ官吏における柔軟な働き方

フレックスタイムが一般に行われている現状については既に紹介したため、ここではテレワークないしモバイルワークに言及する(注10)

【テレワークないしモバイルワークにかかる基本構造】

  • 勤務上の理由が対立しない限り、モバイルワーク(Mobiles Arbeiten)に際しては、職場での労務提供義務(Dienstleistungspflicht am Arbeitsplatz)とは異なった形で就労することができる(労働時間規則10条)。

※ テレワークにかかる詳細な制度設計については、以下の回答にもみられるように、(法定を要する労働条件とは区別されて、)各官署レベルで官吏と公務被用者が共に参画することのできる職員委員会(Personalrat:民間でいう事業所委員会〔Betriebsrat〕に相当)を通じた労使協議に基づき締結される勤務協定(Dienstvereinbarung:民間でいう事業所協定〔Betriebsvereinbarung〕に相当)において定められている。

【テレワークにかかるQ&A】

Q. 官吏は、テレワークによって就労することができますか?

A. 官吏は、通常、テレワーク(少なくともその労働の一部につき、職場外の自宅でコンピューターを用いて行う就労形態)の承認に関する申請を行うことができます。この場合、使用者は、たとえば、コンピューター等の事務・仕事機材を提供します。テレワークの利用者は、就業時間中は連絡の取れる状態でなければなりません。

Q. テレワークの実施に際しては、どのような制度が必要となりますか?

A. 労働時間規則10条がテレワーク、ないし、より広い意味でのモバイルワーク(職場外でのモバイル端末を利用した就労形態)に関連する基本的な事項を定めています。その詳細については、通常、勤務協定によって定められることになります。

Q. テレワークについて課題はありますか?

A. 現在、公務部門の多くにおいて、テレワークないしモバイルワークに関する勤務協定が締結されていますが、勤務協定においては様々な観点を考慮することができます。たとえば、利用者に不利益な取扱いが生じてはならないこと、その利用を強制されてはならないこと、健康的な労働が保障される必要があること、利用者が「つながらない権利(Recht auf Nicht-Erreichbarkeit)」を有すること、データの保護・保守、災害・事故発生時の保護、申請・承認手続などです。

【筆者コメント】

かねてより、日本においても、公務員にかかるテレワーク等の就労形態が議論されてきたが(注11)、ドイツにおける議論の特徴は、民間部門と同様に、労使協議を前提とする勤務協定によって各官署の実情に応じた規律がなされてきたという点にある。日本の公務部門においては、現行法制の硬直性・労使自治への否定的態度も相まって、あくまでも当局側主導による形成が念頭に置かれてきたきらいがあるが、ドイツでは、法制度上も、各職場の実態に通暁する者の間での労使協議を通じて、それぞれの職場に合った具体的制度設計を可能にする枠組みが展開しているのである。日本においては、とかく公務員における労使自治につき、(少なくとも現行法上)広範かつ厳格な制約が維持されてきたところであるが、以上のようなドイツの実情は、日本においても改めて顧みられるべき視点を提供しているように思われる。

6.育児休業等について

このほか、ドイツ官吏の育児休業に関する質問も実施したが(注12)、基本的に民間労働者と同様の規律がなされていること、また、日本で生じる(特に女性の)キャリア問題との関係では、妊娠や育児、更には、パートタイムやテレワーク等にも対応する、不利益取扱いの禁止規定(連邦官吏法25条)が対応していることなどの回答がなされた。

また、ドイツ官吏においては、時短ないし部分休業的なパートタイム就労も広く普及しており(注13)、フレックスタイムや超過勤務に関しても、パートタイム就労に対応した規定が置かれている(労働時間規則7条3項4文、連邦超過勤務補償規則4a条等)。

7.おわりに

ドイツにおいて、日本の(少なくとも一部の)公務員にみられるような「異常な」働き方の常態化は一般的には生じていない、ということができるように思われる。

もちろん、ドイツにおける法制度ないし実態にかかる本格的な評価は、より慎重になされる必要がある。しかし、日独いずれにおいても、超過勤務を例外として位置付けている法体系の下(日本においても、超過勤務が許容されるのは、本来、「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」に限られる)、少なくとも、―法令の制定・改廃および各官署レベル双方の次元での―一定の労使協議を前提としたルール形成、また、自律的・主体的な時間決定・働き方を可能とする諸制度の整備・拡充、そして、労使双方ともにそれら制度に沿って(適法に)運用していく姿勢、また、それを実現可能にする環境整備といった(基本的な)観点は、日本でも改めて十分に顧みられる必要があろう。

プロフィール

写真:猪木祥司氏

早津 裕貴(はやつ ひろたか)
金沢大学人間社会研究域法学系 准教授

1988年愛知県名古屋市生まれ。2011年名古屋大学法学部法律政治学科卒業。2013年名古屋大学大学院法学研究科実務法曹養成専攻修了。博士(法学)。名古屋大学大学院法学研究科特任助教、同特任講師等を経て現職。主な研究業績として『公務員の法的地位に関する日独比較法研究(日本評論社、2022年)』など。

ドイツの公務員に関する参考情報

図1:総雇用に占める一般政府雇用労働者の割合(2019年)
画像:図1

図2:中央政府の幹部職員における女性割合(2020年)
画像:図2

図3:中央政府における18-34歳の労働者割合(2020年)
画像:図3

図4:中央政府における55歳以上の労働者割合(2020年)
画像:図3

図1~4の出所:OECD(2021)Government at a Glance 2021新しいウィンドウ

特集:諸外国の国家公務員の働き方

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