特集3:連帯制度と早期退職制度
早期退職制度
早期退職制度(preretraite)は、退職年齢に達していない者が、前倒しで年金の受給を開始する制度で、雇用創出政策の一環として導入された。高齢従業員の全面的あるいは部分的退職を促進することで、新規人員採用につなげることを狙いとしている。完全早期退職の適用を受ける者は、もはや失業者とは見なされず、手当を受給しながら外国に居住することも自由である。早期退職制度を適用する企業は国と協約を締結し、その内容に準じて一定の拠出金を国に納める(注1)。協約締結企業は、早期退職制度を経済的解雇の手段として用いることもできる。
以下、1984年以来実施されている国の全国雇用基金(FNE)による早期退職の2つの手当を概観する(注2)。
(1) 早期退職解雇手当(AS-FNE)
経営難に陥っている企業は、57歳以上(例外的に56歳以上)の従業員に対して、本来の退職年齢までのあいだ早期退職手当(年金)を受給することを提案できる。この場合、早期退職手当(年金)の給付額は、月給与総額が社会保障上限額(2002年1月1日現在、2352ユーロ)以下であればその65%、社会保障上限額を上回る場合には、給与総額がその2倍(同4704ユーロ)以下であることを条件に、給与総額の50%となる。
(2) 漸次早期退職手当(APP)
56歳以上(例外的に55歳以上)の被用者は、本来の退職年齢に達するまでの間、フルタイム労働をパートタイムに切り替えて、給与と同時に早期退職手当(年金)を受給することができる。その給付額は、月給与総額が社会保障上限額以下であればその30%、社会保障上限額を上回る場合には、給与総額がその2倍以下であることを条件に、給与総額の25%となる。
注
- この拠出金は全国雇用基金(Fonds national de l’emploi: FNE)によって管理される。
- より詳しくは、「フランスの社会保障制度の概要-年金制度および年金改革の動向を中心に-」第II章(本誌2003年2月号)を参照されたい。
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