(香港特別行政区)失業率最悪の7.4%

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年9月

政府統計局が2002年6月17日発表した雇用統計によると、2002年3月~5月期の失業率は7.4%に達し、前期の最悪記録7.1%をさらに0.3ポイント更新した。失業者数も25万3000人で、前期比で7600人増加し、やはり最悪記録の更新を続けている。また、5月の就業者数は700人増加しただけで、345万人だった。

失業が増大した主な部門は、建設、小売、飲食、貿易、通信の諸部門で、装飾・整備、金融、企業サービスの諸部門で若干の改善があったが、全体としては失業を増大させる結果になった。

不完全雇用率は3.1%で、前期の3.0%から0.1ポイント上昇し、前期に0.2ポイント下落したのと比べてこちらも悪化し、不完全雇用者数も、前期の10万4800人から10万8000人に増加した。不完全雇用は主に建設部門で顕著だった。

今回の統計発表で、香港の失業率が2000年末の4.4%から過去18カ月間で7.4%まで上昇したことが明らかになり、このような統計に対しては厳しい見方が相次いでいる。

政府は、統計の悪化は、主に経済の低迷に基づいて、引き続き解雇がなされていることに起因するとしており、また夏季には新卒者が労働市場に参入することから、この高失業率はさらに続くだろうと予想している。また、経済学専攻のチャールズ・リー・シティー大学教授は、香港のエコノミストは米国の国内経済統計の分析を誤り、米国の昨年第4四半期の統計改善から、米国に牽引されて香港経済が実際よりも早く回復すると考えたが、このような考えは時期尚早だったとしている。さらに、イアン・パーキン香港商工会議所主任エコノミストも、失業率の増加が労働人口の増加ではなく、失職によって生じていることが最も憂慮される局面だと述べ、立法会議員のルン・フ・ワ工連会(FTU)副会長は、昨年12月以来毎月失業者数が7000~9000人の割合で増加を続けていることが憂慮され、今年中に失業率が8%に達することを懸念していると述べている。

このような状況を裏打ちするように、香港では自殺や個人の破産が最悪記録を更新しており、有名な老舗レストランの店仕舞による大量解雇等も生じている。

自殺に関して香港大学が5月に明らかにした統計では、香港では経済状況の悪化を原因として中年層を中心に自殺者が増加し、2001年1月~6月期には、人口10万人当たり15.8%と最悪を記録し、これは2000年全体と対比して20%の増加だった。また破産管財人局が6月11日に発表した統計では、個人の破産は2002年1月~5月に8104件に達し、前年同期比で2735件の増加だった。さらに、香港の要人もしばしば利用した老舗のレストラン・チェーン「トレジャー・レストラン・グループ」が6月5日店仕舞し、1500人が一挙に職を失うことになったが、これは香港の労働史の中でも単一の解雇としては最大規模と言われている。

関連情報