一部の外資系企業の労働者が、国内企業に再就職

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年9月

北京市、上海市などの人材市場で、外資系企業から国内の企業に転職する新しい動きが出てきた。このような現象は、「回帰」現象と呼ばれ、中国のWTO加入と国内企業に対する信用が高まったことに原因があると見られている。

外資系企業の労働者の不満

外資系企業の労働者は、就労期間が長期化するにつれて、経営や専門に対する知識や技術を習得し、自己の能力を再評価し始め、給与だけでなく、企業の発展性や自己の能力を発揮できる「総合的報酬」を重要視し始めている。

このような労働者は、外国人が企業の中核的部門を握り、中国人労働者が「企業の道具でしかない」ことに不満を抱いている。

WTO加入が国内企業に与えた影響

国内企業は、WTO加入以後、外資系企業との競争に曝され、企業戦略を強化できる人材の確保、つまり、国際経験のある人材、外資系企業で働いた経験のある人材を必要としている。これが、外資系企業で長期間就労し、自分の価値を見直し始めた人材に、国内企業での活躍できるポストを提供し始めている。

国内企業は、特に、国際市場の動きや貿易業務に熟知した人材を必要とし、外資系企業で貿易業務を経験してきた人材が、企業の中枢で経営戦略の立案などに重要な情報提供をしてくれることを期待している。また、報酬面でも、優秀な人材に対し高額の賃金を支払える財政力を備えてきている

このため、外資系企業の労働者の中には、報酬に多少の差があっても、経営戦略の決定に関与でき、国内企業で就労することにより新たな人脈を築けることを期待し、「回帰」する人材が出始めている。

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