(香港特別行政区)中堅スーパー倒産で失業500人

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

香港の中堅スーパー・マーケット・チェーンのグアンナン(KK)・スーパー・ストアが、2001年6月20日、 34の店舗を突然店仕舞し、 従業員500人以上が失業することになったが、 これにより、 パークンショップとウェルカムの2大スーパーによるスーパーマーケット市場の独占体制が確立する公算が強まった。

グアンナン・グループは中国本土の資本で、 1996年に香港のキティー&ケティー・スーパーの株70%を買収してKKチェーンを設立し、中堅スーパーとしての活動を始めた。 過去6年間グアンナン・グループはKKに2億2200万ドルの投資を行い、 2000年は9000万ドル、 2001年は4100万ドルを投資したが、店舗の賃借料の高騰と商品の供給業者と有利な取引条件を確保できなかったこと等で、 最近になって経営の行詰りを見せており、 2001年になって1億4500万ドルの損失を出し、2億900万ドルの債務を抱えていた。 最近経費節減のために94人をレイオフし、 賃金カット、 リストラ、 間接費の削減等経営の合理化に努めたが、結局功を奏さず、 店仕舞となった。

破産管財人エルンスト・アンド・ヤングによると、 個々の店舗を引き受ける申し出はあったが、 KKチェ-ン全体の引き受け手はなかった。 職を失う従業員522人は、6月20日に労働局に未払い賃金と解雇手当の補償を申請し、 補償金は政府が運営する「破産に関する賃金保護基金」から支払われる。 立法会議員のルン・フ・ワ工連会(FTU)副会長によると、未払い賃金と解雇手当の補償は1500万ドル以上になると見られている。

このグアンナン(KK)・スーパーの倒産で、 香港のスーパー業界の最近の再編の動きがほぼ完成したと研究者等の間で考えられている。

この再編の動きの中で、 2000年9月にまずパリに本拠をおく小売チェーンのカレフェールが店仕舞して、 490人の失業者がでたが、 同年12月には、オンライン・ショッピングと宅配サービスで1999年に野心的に香港の小売業界に切り込んだアドマートが、 10億ドル以上の損失を出して撤退し、344人の失業者を出した。 これは香港のドト・コム関係の企業のレイオフとしては最大規模だった。 アドマートは香港のタイクーン(億万長者)の1人ジミー・ライ氏の傘下にあり、オンライン取引と宅配サービスで他の企業にも影響を与え、 2大スーパーもその影響で同種のサービスを開始したほどだが、 結局は競争に敗れ、 今回のグアンナン(KK)・グループの撤退で、2大スーパーのシェア独占は揺るぎないものになったとされている。

2大スーパーの創業は共に1960年代にさかのぼり、 ウェルカムは237店舗、 パークンショップは189店舗を有し、 後者は香港の最大財閥長江グループの総帥李嘉誠氏の傘下にある。バプティスト大学のチュン・ワ・ルン助教授(マーケティング論専攻)は、 2大スーパーのシェアは現在でも70%だが、 グアンナン(KK)・グループの撤退で、そのシェアは併せて80%に達するだろうとし、 消費者の選択と価格の観点から懸念を表明している。 また、 他のマーケティング専門家は、 今後とも2大スーパーの競争が厳しくなり、スーパーの小売価格の上昇の可能性は小さくなるとしている。

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