北京市がIT人材優遇政策を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

北京市は中国最大のソフト産業基地の建設に取り組んでおり、ソフト人材の導入と育成を含めた一連の優遇政策を発表した(2月)。北京市の目標は、国内におけるソフト産業立地の優位性を確保し、世界の先端水準に接近することである。

IT人材の誘致に関する内容としては、①北京市以外の居住者で、大卒以上の学歴をもち、かつ専門技術資格をもつ者は、北京市内のソフト産業基地やソフトウェア企業に就職する場合、戸籍による移動の制限を受けることなく、本人及びその家族に対して北京市への移住許可を与える。②ハイテクのベンチャー起業やベンチャー企業の追加投資を行う者、さらに初めて住宅や自家用車を購入する技術人材に対して、市の財政から特別補助を行う。補助額は受給者個人前年度所得税の80%を上限とする。③国有株式会社は、毎年度の利潤の中から総額の35%を上限とする金額を引き出し、ストックオプションの形で経営管理者や技術者に支給することができる。④海外の留学生や外国人は、ソフトウェア企業を開設する場合、国や北京市のすべての優遇政策を適用する等々である。

北京大学企業研究センターがソフトウェアエンジニアを対象に行ったアンケート調査によると、約30%のソフトウェアエンジニアはアメリカで働く希望をもっている。北京大学や清華大学などトップレベル大学出身のソフトウェアエンジニアの中では、この割合がさらに約40%に上る。現在、中国全土で約20万人のIT人材が不足している。それと対照的に、アメリカではIT人材の約50%は中国とインドなどからきている。人材流出の問題は、しばらく解消できないようである。

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