(香港特別行政区)香港労働者の企業の対する忠誠、アジアで最下位

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

2000年に続いて、 アジアにおける労働者の企業に対する忠誠の度合が調査され、 6月18日にその調査結果が明らかにされたが、 それによると香港労働者が2年連続で最下位を記録した。

この調査は、 アジア・マーケット・インテリジェンスが2001年3月に、 香港、 中国、 マレーシア、 シンガポール、 フィリピン、 台湾等、 アジア9カ国(地域)の1679人の労働者を対象にインタビュー形式で行ったもので、 調査結果は香港の企業風土の一面を表す数字として興味深い。

調査の項目中、 労働者が企業に止まることを使用者に対する義務と感じるかとの問いに対しては、 香港労働者の29%が感じないと答え、 これは中国の18%、 マレーシア、 シンガポールの各16%を大きく引き離して最も高い数字だった。 逆に、 真に企業にコミットし、 使用者のもとに止まる意志があるかとの問いに対しては、 香港労働者の21%のみがその意志を肯定し、 調査対象国(地域)中最下位だった。 韓国と台湾が各51%、 49%で最上位を占めた。 さらに、 仕事に大いに不満だが、 他の選択肢がないので仕方なしに企業に止まっていると回答した労働者は、 香港では44%(前年調査比で3%増加)で、 中国の46%に次ぐ高い数字だった。 これらを総合して、 香港労働者の企業に対する忠誠の度合は2年連続で最下位になった。

職工会連盟(CTU)所属の立法会議員リー・チュク・ヤン氏は、 この調査結果に関連して、 具体的に香港の企業風土を説明している。 同氏は、 香港では使用者と労働者の関係が良かったことはなく、 使用者は労働者が仕事に適応できるように訓練を提供してこず、 労働者が仕事に適応しないと判断すると、 直ちにレイオフしてきたとし、 その半面として、労働者も企業に忠誠心をもたず、 他にもっと良い労働条件の仕事が見つかると、 直ちに転職してきたと述べている。 同氏は、 この状況を改善する唯一の方法は、 使用者との交渉において労働者の立場をもっと対等にすることだと述べている。

また、リンナン大学の経済学者ホー・ロク・サン教授は、 景気の後退と強制積立金(MPF)の導入が、 使用者と労働者の関係をさらに悪化させたと述べている。 同教授は、 景気の後退で使用者は労働者の賃金の支払いを渋り、 この状況でMPFが導入され、 使用者が保険料の積み立てを回避する様々な方法を案出したりして、 関係はますます悪化したとしている。 そして同教授は、 この状況を改善しなければ、 外国企業の投資にも影響しかねないと述べている。

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