(香港特別行政区)ILO、団体交渉の承認を勧告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

国際労働機関(ILO)の一部を構成する「結社の自由に関する委員会」が、 このほど香港政府に対して団体交渉権を認めるように法を改正すべきであると勧告したことが、 2001年4月初めに明らかになった。 ILOが香港政府に同種の勧告を行うのは3年連続である。

同委員会は、 使用者側と勤務条件について自由に交渉することは、 結社の自由(freedom of association)の本質的要素であるとし、 団体交渉目的のための労働組合の代表者としての地位を決定するために、 新たな条項を採用することを、 香港政府が真剣に考慮しなければならないとしている。

香港では、 1997年の中国への返還直前に、 労働者の団体交渉権を認める立法を行ったが、 返還後の臨時立法会によってこの規定は削除され、 その後、 政府は団体交渉権の要求に対して、 香港の現状では団体交渉を奨励するに留めることが適しており、 これを達成する方策を検討する段階だとして、 立法化に応じてこなかった。 そして、 労組、 経営者、 政府労働局の3者で構成される諸種の委員会を設置し、 この問題についてのコミュニケーションを図ることに努めている。 ILOの委員会は、 今回の勧告ではさらに一歩踏み込んで、 労働組合がどのように資金を利用するかに制限を設ける規定を削除するように、 香港政府に勧告している。 香港の現行規定では、 労働組合は選挙に立候補する組合員の援助のために資金を利用できるだけで、 その他の政治目的のためには利用できない。 同委員会は、 労働組合が通常かつ合法的な労働組合目的のために資金の管理と利用を行うのを制限することは、 団結の自由の原則と両立しないとして、 香港の現行規定の削除を要望している。

職工会連盟のリー・チュク・ヤン氏は、 削除されるに至った1997年の団体交渉規定を提出したが、 政府がこれまでILOの勧告を無視してきたことを批判している。 同氏は、 香港の現状は国際労働条約にも香港基本法にも違反しているとして、 委員会を設置してコミュニケーションを図る政府のやり方は不十分だとしている。 同氏はまた、 立候補者の選挙支援のほかに、 労働側としては政治的なロビー活動やキャンペーン活動を行うことが必要で、 そのために労働組合は資金を利用する必要があるが、 現行規定ではこの種の活動も違法になってしまうとして、 ILOの委員会が資金利用の制限規定を撤廃すべしとしたことを歓迎している。

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