(香港特別行政区)労組、パートタイマーの待遇改善を要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年7月

パートタイム雇用については、 香港では欧州等と異なり、 典型雇用と非典型雇用の対比という形で取り上げられることは少ないが、 有力労組が2001年4月24日、 パートタイマーの勤務条件の改善を図るべきだと提言した。

香港法の下では、 パートタイム雇用は継続契約(continuous contract)と対比されるが、後者は、 週18時間以上を4週間継続して働く契約形態である。 この継続契約のカテゴリーに入らない契約は、 継続契約と勤務条件の上で差があり、 継続契約では、 有給休暇、 解雇手当、 長期勤続手当、 疾病手当等が保証されるのに対して、 それ以外の契約はこのような保証を受けない。 そしてパートタイム雇用は継続契約以外に区分けされるので、 継続契約が受ける保証の対象外となる。 ここから、 パートタイム雇用は、 使用者が労働者に対する継続契約の保証を回避する手段として利用されているという指摘もなされている。

人口統計局のこれまで2回の調査では、 香港のパートタイム労働者の数は、 1997年は2万200人、 1999年は3万6000人であり、 増加傾向を示している。 そしてパートタイム雇用は、 主に一握りの大企業によって利用されており、 最も多く利用している香港中央競馬会は、 約1万4000人を場外馬券売り場の窓口や飲食サービスに利用している。この他、 大手スーパーのウェルカム、 マクドナルド、 鉄道会社MTRC、 九竜・広東鉄道会社等が多くのパートタイマーを雇用している。

今回パートタイム雇用の条件改善を提言したのは職工会連盟(CTU)であり、 CTUのチュン・ユェン・イー氏は、 香港のパートタイム雇用は一握りの大企業により、 継続契約上の保証を回避するために利用されており、 多くの中小企業に悪い前例を残しており、 その結果パートタイム労働者の条件改善に結び付かないことになるとしている。 そして同氏は、 パートタイマーにも勤務時間に比例して有給休暇や解雇手当を与えるべきことを主張している。

これに対して、 パートタイマーを利用する大企業は、 パートタイム労働の性質上、 現在のような条件で雇う必要があると反論している。 例えば香港中央競馬会のスポークスマンは、 レースが行われるのは週2回で、 パートタイマーは主に学生、 主婦、 他に仕事を持つ人達で、 この勤務条件に満足しているから、 このような条件が現状に適しているのだとしている。 また、 パートタイマーは他に仕事を持っているから、 法定の保証を与えると二重に保証することになると、 反対している経営者もいる。

政府労働局は、 1999年の人口統計局の調査ではパートタイマーは香港労働者全体の1%であるが、 今年再度調査を行い、 法律上の改善が必要かどうか検討するとしている。

2001年7月 中国の記事一覧

関連情報