(香港特別行政区)専門技術者導入計画固まる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

香港と中央政府の移民問題担当の高官の合意が2001年4月2日に成立し、 先にドナルド・ツァン財務長官(現政務官)が予算案で発表した中国本土からの専門技術者の導入が(本誌2001年6月号参照)、 7月中旬に実現する見通しとなった。

ツァン長官の「中国本土からの専門技術者導入計画」発表後も、 IT技術者と金融専門家の導入に人数枠を設けないことや、 中国本土の出身大学についても限定を設けないことなどで、 いろいろ議論が行われたが、 移民担当高官の合意では、 手続き面の詳細についても詰めの作業が行われ、 香港側の受け入れ態勢が整った。 また政府は4月4日、 人数枠を設けないと再度言明した。

手続的には概略以下の手順が踏まれる。

香港移民局は、 審査を通った志願者に対して、 必要なすべての情報を受理してから4週間以内に、 香港に入境する許可証を発行する。 それから中国本土当局者が承認を与えて査証を交付するが、 これには約15日を要することになる。

また、 この計画に対する悪用を防ぐために、 必要に応じて香港と中国本土の当局者が学位審査に協力して、 志願した専門技術者のアカデミックな経歴を確証するために助力を与える。 この場合、 この計画で導入される本土の専門技術者は、 香港ではすぐに募集し得ない技能と知識の水準に達していなければならず、 賃金は香港の市場に依拠して決定されることになる。

香港当局者はまた、 採用した企業と専門技術者を検査し、 提供された情報が真実に即しているかを確かめ、 虚偽の情報や誤解を招く情報を提供した者には、 最高14年の懲役および10万ドルの罰金が科される。

さらに、 本土の専門技術者を必要とする香港企業は、 職業仲介業者を経由しないで、 移民局に直接募集を申し出ることができる。 これは1994年の同種のプログラムが、 仲介業者を経由させて手続きを複雑にし、 制限も多く設けて、 1997年の終了時点で失敗に終わった反省に基づいている。

また、 今回の専門技術者導入の合意と並んで、 香港政府は中国本土からの学生に有利な処置を決定した。 まず、 香港の大学を卒業した本土からの学生で、 香港企業に就職した者は、 香港に留まれることになった。 ただし、 卒業後一旦出身地に戻り、 そこの公共安全局に許可証と査証の発行を受けてから、 初めて香港での就業開始が可能となる。 さらに、 香港の大学で学ぶ本土からの学生の人数枠が拡大されることになった。 政府案によると、 香港の8つの高等教育機関全体で、 本土からの学生の人数枠を約500人拡大することになる。 中央政府は、 香港政府のこれらの決定を歓迎している。

このような動きに対して、 香港の労働団体は地元の労働者の就業機会が奪われるとの懸念から概ね批判的で、 特に専門技術者導入計画に対して、 手続的により厳格にすべきで、 人数枠も設けるべきだとしている。

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