見習訓練契約が増加
―DARES見習訓練制度報告
フランスには就労促進を目的とした支援制度が多種あるが、職業訓練と雇用が組み合わされた制度の総称を特殊雇用契約という。特殊雇用契約の一形態である見習訓練契約が増加していることが、2010年4月に発表された政府報告書(1)により明らかになった。報告書によると2008年に約30万件の見習訓練契約が新たに締結された。これは前年比7%増に当たる。
見習訓練生の主要使用者は中小企業がほとんど
見習訓練契約の特徴の一つは契約のほとんどが小規模企業で締結されていることである。2008年における従業員数10人未満の企業が占める割合は見習い訓練生の59%を占めている。ただしこれは以前ほどの集中は見られない。小規模企業の占める割合は2007年比で3ポイント低下した。見習訓練契約の利用度が高いのは小規模企業の多い農産物加工業、商業、個人向けサービス業等のセクターであるが、見習訓練契約の伸び率は大規模企業の方が高い(前年比13ポイント上昇)。また、公的部門での締結数は、およそ7000件(2008年)に過ぎなかったが、契約全体と比べると伸び率は高くなっている。
高等教育学歴者が増加
高等教育以上の学歴を持つ者が増えてきているのが近年の特徴とも言える。新規見習訓練契約全体に占めるバカロレア(BAC)レベル以上の学歴を持つ若年者の割合は、2008年は前年比2ポイント上昇して27%となった。上昇率は商業、企業向けサービス業、設備財産業の方が農産物加工業、建設業、個人向けサービス業における見習訓練契約より高い。これは後者のセクターが、職業教育修了免状(BEP)の最終年まで達せず公認資格を持たない若者を多く雇ったことにも起因している。
特殊雇用契約の増加に期待
特殊雇用契約は主に若年者雇用に重点が置かれた支援制度である。若年失業問題はフランスの雇用政策の中でも最優先課題のひとつ。2009年6月1日からは総額13億ユーロにのぼる緊急雇用対策が実施されていた。見習訓練契約に関しては、見習訓練生を採用した企業に対して助成金を支給、社会保険料雇用主負担を免除するなど対策の大きな柱となっている。サルコジ大統領は今年5月10日、労使代表を招いて景気・雇用対策の協議を行ったが、その中でこの緊急雇用対策の延長を決めた。見習訓練契約をはじめとする特殊雇用契約の増加で失業の増大に歯止めがかかり、雇用が好転することに期待がかかっている。
注
- Dares Analyses, Avril2010, No.024
- 中等教育第一過程の履修を証明できる場合は15歳以下でも適用を受けることができる。
出所
- Dares(雇用省統計局)
参考レート
- 1ユーロ(EUR)=113.38円(※みずほ銀行
ホームページ2010年8月2日現在)
2010年8月 フランスの記事一覧
- 見習訓練契約が増加―DARES見習訓練制度報告
- 移民出身者の暴動―不法滞在者を強制送還へ
- 若年者の就労支援―特殊雇用契約に関する報告書から
関連情報
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:掲載年月からさがす > 2010年 > 8月
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:国別にさがす > フランス記事一覧
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:カテゴリー別にさがす > 雇用・失業問題、若年者雇用、人材育成・職業能力開発
- 海外労働情報 > 国別基礎情報 > フランス
- 海外労働情報 > 諸外国に関する報告書:国別にさがす > フランス
- 海外労働情報 > 海外リンク:国別にさがす > フランス