(香港特別行政区)パシフィック・センチュリー・サイバーワークス、2500人に自主退職提案

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

パシフィック・センチュリー・サイバーワークス(PCCW)が2月にシンガポール・テレ コムとの買収合戦に勝利して(本誌2000年5月号参照)、ケーブル&ワイアレス香港テレコム(HKT)を正式に買収してから3カ月目の2000年11月10日、会社側と従業員組合の会議で、従業員2500人に対して自主退職が提案された。

PCCWは、香港の最大財閥である長江財閥の総帥李嘉誠氏の次男リチャード・リー氏の率いる従業員1万4000人の会社で、インターネットなどIT関連部門で急成長を遂げる香港を代表する大企業であるが、最近李一族の香港株式市場の支配について、250の企業が香港に進出するEUの議会調査団から、EU議会に対して市場独占の懸念について報告がなされたことからも(市場の3分の1から4分の1を支配しているとの指摘がなされている)、さらにその動向が注目されるにいたっている。

自主退職提案の内容としては、対象者は旧ケーブル&ワイアレスHKTの20年以上勤務の従業員で、自主退職者は通常の退職金のほかに、9カ月分の賃金を支給される。PCCW側は、この提案を受諾する従業員は約10%と予測しており、これによって将来人件費6100万ドルを節減できると計算している。

2月の買収決定に際しては、リー氏は従業員のレイオフはしないと約束したこともあり、 自主退職提案はレイオフとは異なるとは言え、従業員の側からは、提案に至るまで事前の通知がなかったことからも、予期しない出来事だと戸惑いを表明する声があがっている。また10日の会議では、組合側は会社に対して、退職金以外の支給を賃金の12カ月分に増 額すべきだとの要求を行った。

これに対して会社側は、これはあくまで自主退職の提案で、従業員の側に受諾義務がある訳ではないので、リー氏が約束違反になる訳ではないとし、また、対象者を20年以上の勤務者にしたのは、長年続いているある種の職種は、現実の事態に適応しえなくなってきたからだとしている。

その後11月20日に至り、会社側は、退職金以外の9カ月分の賃金支給という条件は変更していないが、自主退職提案の枠を3000人に拡大しており、李一族のかかわる香港の代 表企業の動きという意味でも、その動向が今後も注目される。

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