国有企業における企業制度の改革とその成果

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年1月

1997年末までの統計では欠損状態にあった6599社の国有大中型企業のうち、58%以上の企業は、2000年8月までの統計ですでに苦況を脱出している。この実情に基づき、国家経済貿易委員会は、「欠損状況にある国有大中型企業のうちの大多数を3年間で困難から脱出させる」目標は、今年度に実現可能だと発表した。しかし、経済貿易委員会は、これはあくまでも初歩的な成果であり、今後の国有企業改革の課題は依然として厳しいとも述べている。

2000年10月に、国家経済貿易委員会は、「国有大中型企業における現代的企業制度の確立および管理強化」について記者会見を行い、国家経済貿易委員会の蒋副主任は、国有企業における現代的企業制度確立の進捗状況を報告した。

中国は1994年から、100社の国有企業を試行対象に、株式制導入を主な内容とする現代的企業制度の確立を打ち出した。これまでに現代的企業制度を試行している国有企業は、すでに2473社にまで拡大しており、そのうちの80.5%を占める2000社は、「会社法」に基づき株式制への改造を行った。また、国家重点企業と位置づけられている520社の国有企業の中でも、423社が株式会社に変身しており、うち250社がすでに上場を果たしている。特に、1998年以降、国有大企業は、合併や吸収を通じて大規模な企業グループを結成してから海外に上場し、大きな成果を上げている。2000年に入ってから、国有大企業は、海外での上場を通じて150億米ドルに及ぶ資金を集め、国内市場においても100億米ドルを調達した。現代的企業制度に基づいて組織再編を完遂したこれらの国有企業は、上場企業の世界基準を採用しており、国内外の資本市場に進出することによって、さらなる発展を目指している。

現代的企業制度の確立は、国有企業のガバナンス構造や内部組織の効率化にも、大きな影響を与えている。国有企業の上級管理部門である役所は相ついで撤廃されており、企業の行政ランク付けも取り消された。企業内部の社会サービス機能は、企業から切り離され、人事労務制度がより効率化されている。

蒋副主任の報告によると、現代企業制度が確立するためには、今後少なくとも5~10年間が必要である。まずは企業の所有権を明確にしなければならず、さらに、親会社と子会社の相互関係、ストック・オプションの導入など、さまざまな課題も1つずつ解決していくべきであるとしている。

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