(香港特別行政区)使用者団体、賃上げを2%の範囲で勧告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

香港使用者連盟は2000年9月25日、今年度は景気の回復に即して賃上げを認めるべきだが、政府の楽観的な景気回復予測にもかかわらず、平均賃上げ幅は2%以内に止めるべきだと、加盟企業に勧告した。

香港経済界は、アジア金融危機以来の景気低迷に対処するため、過去2年間賃金の凍結を勧告してきたが、景気回復に伴い、まず加盟者数4000人の香港商工会議所が2000年9月19日に、使用者は2001年度から1%から2%の範囲で賃上げを考慮すべきだとし、これにつづいて、有力使用者団体の使用者連盟の9月25日の賃上げ勧告となった。ただ、賃上げ幅を2%以内と押えたことについて、ジェームズ・ウン使用者連盟会長は、石油の高騰を含む香港経済を取り巻く諸般の事情を考慮するならば、この2%の上げ幅が、香港の経営者が責任をもって雇用者に提供できる最高額だとしている。

使用者連盟のコンサルタント、ブライアン・レンウィック氏は、同連盟の勧告と関連して、景気の回復がすべての部門に浸透しておらず、建設業、小売業、ホテル業で回復が遅れていることを指摘し、また、使用者は今年度末までに強制積立金(MPF)のために法定の保険料を用意せねばならないから(本誌2000年5月号参照)、特に中小企業を中心とする多くの使用者は、賃上げに乗り気でないことも指摘している。そして同氏は、賃上げを実施する企業については、結局各部門毎に異なり、また、各企業毎に異なるだろうとし、IT 部門や企業会計部門では優秀な人材の不足もあって、賃上げ幅は大きいだろうが、平均的には香港企業の賃上げ幅は2%以内に止まるだろうとしている。

経済界を代表する自由党の党首で商工会議所会員のジェームズ・ティエン氏は、企業が賃上げに転ずることにつき、景気後退時期と異なり、景気回復期に賃上げに転ずることは認められるが、使用者は賃上げが香港の競争力に及ぼす影響を考慮せねばならないと、注意を促している。

労働側は賃上げ勧告を歓迎しているが、先の選挙で労働側代表として立法会に当選したルン・フウ・ワ氏は、過去2年間に雇用者の賃金カットを行った企業は、それを補償するために賃上げ幅をさらに上げるべきだとしている。

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