国有企業では依然として3分の1が余剰労働者

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

2000年8月、国家経済貿易委員会の責任者が、国有企業の雇用制度改革に触れ、国有企業労働者の3分の1は依然として余剰人員である、と示唆した。

国有企業は、従業員の生活保障の重い負担や過剰雇用などの課題を抱えており、企業の経営や競争力強化の妨げとなっている。改革開放後、外資企業や私営企業などの非国有セクターが急速に成長し、改革開放前、工業総生産の90%を占めていた国有企業は、現在わずか25%にまで低下している。しかし、生産高に占める割合が低下したものの、労働者の雇用においては、依然として国有企業がもっとも大きな役割を果たしている。1998年に、朱鎔基首相が国有企業改革3年以内に達成するとの方針を打ち出してから、国有企業は大胆なリストラを推進してきた。1998年には、国有企業雇用者数がはじめて都市部就業者数の43.8%となり、半分を下回った。しかし、工業生産高の25%を占めるにすぎない国有企業が、依然として都市部就業人口の5割近くを雇用しているのは極めて不合理である。このアンバランスをいかに解消していくかが、国有企業の雇用における最大の課題である。労働保障部の計算によれば、1998年から99年の2年間に、およそ1000万人の国有企業のリストラ労働者が新たな職を見つけたが、2000年には、国有企業からさらに1200万人がリストラされると予測されている。

国有企業の余剰人員の問題は、企業内の社会サービス部門の存在とも関連している。国有企業改革の課題の1つは、これらの社会サービス部門をいかに企業から切り離していくかである。国家経済貿易委員会の責任者によると、現在、全国には1万9000校の企業内小中学校があり、全国小中学校の3分の1を占めている。また、7297カ所の企業内病院があり、全国病院の40%を占めている。国有企業における社会サービス機能の分離は、これまで福建省や広東省などではうまく進められてきたが、全国の大多数の地域ではまだ初期段階にあり、特に経済発展が遅れている地域、鉱山あるいは中小国有企業などでは、社会サービス機能が企業経営を圧迫している。

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