(香港特別行政区)所轄機関、再訓練後の就職者数を水増し評価

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

政府補助の雇用者再訓練会議(Employees Retraining Board)が、再訓練後の就職者数等について不適切な評価を行っていたことが、オンブズマンの調査によって2000年9月27日に明らかにされ、批判の対象になっている。

同会議は1993年に設立され、失業者の就職のために諸種のコースを設けて再訓練を施し、今日までに36万9000人に10億ドル以上を支出して諸種のコースを提供してきた。同会議は、1999年度には、フルタイムのコース参加者7万8000人の75%を再就職させたとしている。

今回のオンブズマンの調査は、靴製造コースの質の低さと低賃金で再就職させられたというコース参加者の苦情が、昨年メディアによって報道されたのを契機に行われ、何カ月にもわたる調査の結果、同会議による検査、監視、コース評価等に不十分な点があったことが明らかになり、特に就職率が、再訓練終了後の就職者の実態を正確かつ客観的に反映していないことが明らかになった。例えば、オンブズマンが大豆製造コースを調査したケースでは、訓練を終了して就職した17人中の10人が、就職した初日に離職したが、全員が適切に就職したと評価され、しかもこの事例は同会議の年間報告には記載されなかった。

この調査に対して同会議は反論しており、特に就職率の評価の不適切さに対しては、今年の4月から就職率の他に、「就職先に止まる率」も新たに加えているから、不適切な評価はなされていないとしている。

これに対してオンブズマンは、同会議の今日までの失業者に対する貢献を評価し、就職率についても意図的に歪曲したとは思わないが、より健全な評価と監視のシステムが必要だとしている。また、職工会連盟(CTU)は、就職率が実態と掛け離れていることに同意し、再訓練後の就職者に対しては、その職に止まっているかどうかを確かめるために、訓練終了後3カ月の追跡調査が必要だとしている。

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