(香港特別行政区)キャセイ航空で紛争再発

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

香港の代表企業のキャセイ航空で、1999年の賃金紛争(本誌1999年9月号参照)に続いて、職務当番をめぐってパイロットと会社の間で紛争が生じている。

背景には1997年の経済危機以来落ち込んだ香港観光業の回復があり、キャセイ航空もこの動きに与るために、航空機数や路線の増加、フライト数の増便等を図り、パイロット数も増員しているが、訓練等に時間を割かれ、フライトに従事する人数の不足に直面した。そこで会社側から現職パイロットの職務当番の変更を要請する働きかけがあったが、パイロット側は、フライト・スケジュールを安易に変更されることは、フライト後の休養や家族生活への支障を伴い、とうてい承服できないとしていた。

しかし、会社側の強硬姿勢があったので、1300人のパイロット中1100人を擁するパイロット組合は、2000年7月4日に職務当番変更反対の決議を圧倒的多数で可決し、会社側に当初の契約を順守するよう要求し、7月11日を期して遵法闘争に入った。組合所属のパイロットは、休暇日に会社側から当番変更の連絡があっても一切応じないことを決定し、会社が当番変更計画を撤回するまで闘争を継続すると主張している。

これに対して会社側は、パイロットは過去1年間に契約上の92日の休暇数より多い130日の休暇数を与えられているとし、当番変更の撤回に応じない方針を示した。また会社関係筋は、組合の遵法闘争に対して、予備のパイロットの投入によってフライト・スケジュールに支障を来すことはないとしている。

ちなみに、政府労働関係筋は、パイロット組合と会社の紛争に介入する可能性を否定しており、パイロット組合は、会社側との話し合いを今後も継続していくことを表明している。

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