(香港特別行政区)失業率6%台が続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

景気の回復と高失業が同時進行する香港で、政府が1999年12月の雇用統計を2000年1月17日に発表した。それによると、1999年10月~12月期の失業率は6%を記録し、9月~11月期と比べて0.1ポイント低下したが、依然6%を割れず、失業者数も22万人と依然として高い数字を示した。不完全失業率は2.8%で、前期比で0.2ポイント低下した。

チュン・ホク・イン政府主任エコノミストは、失業は装飾・整備、運輸、企業サービス等の部門で減少し、これが飲食店、建設部門等における増加を相殺する形になったと述べている。チュン氏は、失業率が僅かに低下したのは労働力に対する需要が増えていることと全体的な景気の好転に起因するとしている。

フィリップ・チョク教育・人材副長官は、依然として高い失業は続くが、労働局が1999年12月に5200人の雇用を仲介したことを述べ、また観光業の回復を指摘し、1999年11月の観光客数は97万7000人で、1998年11月に比べて17.3%増加したとしている。更に同副長官は、ペニー湾の第1期埋め立て工事を含むインフラ整備と公共事業計画で、向こう6カ月で2万人の雇用が創出されるとしている。ちなみに労働局が1999年度に雇用を仲介した労働者数は4万7000人で、前年比で31.7%増加している。

このような中で、ギャラップ・インターナショナルが行った1999年の年末調査によると、一般の労働者は景気の回復には楽観的だが、雇用に対する心理は依然悲観的である。

648人を対象とする同社の調査によると、52%が2000年度の景気の向上を期待しており、これは前年調査の31%を大きく上回るが、失業の懸念を表明したものは37%で、これは前年の30%を7ポイント上回った。

立法会議員リー・チュク・ヤン職工会連盟(CTU)事務局長は、この調査結果につき、景気の回復は主に情報通信部門により齎されたもので、これがそのまま雇用の機会を齎すものではないことを示しているとしている。同氏は、香港が景気の向上と長期失業が同時進行する新たな事態に直面しているとしている。

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