(香港特別行政区)公務員労組、年間昇給と業績評価の結び付けに反対

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

公務員の年間昇給を業績と結び付け、そのための業績評価に枠を導入することを巡り、客観的基準の確立が不可能であるとして、公務員労組が2000年1月18日に反対を表明した。

現在公務員の年間昇給は、年功序列とインフレ等の要素に依拠している。また年間昇給とは別に、現行規定では業績評価に「最優」から「不可」まで6つのカテゴリーを設けており、ハイダー・バルマ公務員委員会委員長によると、70%の公務員が「優」か「良」の評価を受けている。これに対して公務員担当局は、給与改革の一環として、各部局で業績評価の上位2つのカテゴリーにそれぞれ10%と20%の枠を設け、他のカテゴリーには枠を設けず、この業績評価のために審査会を設置することを組合に提案している。だが組合側は、提案に明記されている訳ではないが、この内容は年間昇給と業績を結び付け、年間昇給に業績給与を導入する意図だとして、反対を表明した。

先任非移入者公務員連盟のルン・チ・チュ会長は、公務員の給与の調整や昇進に客観的基準を設けることは困難で、審査会よりも直属の上司の方がより良い評価ができ、また業績に対してはむしろボーナスを支給すべきで、年間の定期昇給を業績に対する報酬とすることは公務員の人事管理を複雑化すると、反対している。また、セシリア・ソウ中華公務員連盟会長は、業績を上げたにもかかわらず上位2つのカテゴリーの欠員がないために、そこに含まれない者に不公平を生ずるとしている。

これとは別に、ラム・ウーン・クォン公務員担当長官は1月19日、怠慢な公務員には年間の定期昇給も認めないと言明した。

現行の公務員条例の規定では、業績評価を得た公務員のみが、毎年1ポイント評価が上昇し、評価の上限に達するまで年間の昇給を受ける仕組みだが、実際はこれが自動昇給のように運用され、公務員19万人のうち約8万人が月額に換算して195ドルから4450ドルの昇給を得、年間の政府支出は7億ドルに達している。ラム長官は、条例を今後厳格に運用することで、怠惰な公務員は昇給を得られないことになるとしている。

また同長官は、1月18日に組合が反対した業績評価の上位カテゴリーへの枠導入は、直ちに業績給与の導入と結び付くものではないが、組合が反対しても、行く行くは業績給与を導入する基礎として検討していくとしている。

現在行われている香港の公務員制度の全体的な改革の中で、公務員の給与面での具体的な改革が進展しており、民間企業の賃金制度との接近を図る趣旨が看取されるが、上記の改革も、初任給のカット等と共に、この側面から注目される。

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