(香港特別行政区)Haeco人員整理を巡り、組合員2名が提訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

残業手当のカットを巡りストライキ騒動にまで発展した香港最大の航空整備会社である香港エアクラフト・エンジニアリング社(Haeco)で、1999年11月15日の最終期限までに従業員3000人中80%に相当する約2400人が会社側の条件提示を受け入れ、300人が自主退職し、残りの従業員は態度を留保したままだった。事態は一応の収束を見た観があったが、12月に至り、会社側が従業員166人を解雇し、この中にストライキを組織した組合員2人が含まれていたので、この2人が会社を相手に民事訴訟を提起した。

同様の訴えは1988年と1994年の2回、香港返還以前にもなされたが、このときは提訴した組合員が敗訴した。この場合敗訴の理由は、訴えを提起した組合員側が組合員であることを理由として解雇されたことの立証責任を負うのに、これを立証できなかったことだった。

だが、返還後の民事手続きでは立証責任が転換され、使用者側が組合活動以外の理由で解雇したことを立証せねばならなくなった。いずれに立証責任があるかで訴訟の実際は大きく左右されることから、今回の訴訟では訴えを提起した組合員側に有利な判決が下されると予測され、その意味で組合活動に有利な事態が判決によって齎されると期待されている。

ILOは1999年12月、前年に続き、香港の労組に団体交渉権が認められていないことに対して憂慮する旨勧告しているが、このような労働者の権利保護に不十分な面がある一方で、特別行政府政府は、10月にストライキ参加労働者を従来よりも保護する立法の提言を行っている。このような流れを見ると、今回Haecoに対して解雇されたストライキ指導組合員が提起した訴訟の行方は、上の政府提言などと共に、組合活動の保護を強化して行く方向として今後注目される。

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