(香港特別行政区)公務員給与システムの合理化進展

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

2000年度は香港の公務員制度の抜本的な改革が予定されており、1999年4月の改革構想発表以来、有識者への諮問、スタッフ・労組との協議が進んでいるだけでなく、個別的に可能な部門の改革も図られているが、今回給与面での改革の進展があった。

まず、1999年12月14日に初任給の減額が行政会議によって、2000年4月1日を施行日として、公務員の職種・資格に従って3%から31%の範囲で決定された。これによって1億8000万ドル(1ドル=14.07円)の経費が節減されることになる。

公務員のうち一般業務では資格別に約6%から31%の幅で減額される。初等教育未修了者の減額幅が最も小さく、現行の8625ドルから8125ドルになり、5.8%の減額になる。最も減額されるのは大学入学資格のみの取得者で、現行の1万5160ドルから1万420ドルになり、約31%の減額になる。

警察、消防等の統制業務と独立腐敗監視委員会(ICAC)は減額幅が小さく、統制業務全体では約3%から17%の幅で減額される。学位取得の役職者は、警察では現行の3万2380ドルから2万6955ドルになり、16.8%の減額、消防・移民局では現行の2万7570ドルから2万3095ドルになり、16.2%の減額、ICACでは現行の3万1195ドルから2万6230ドルになり、15.9%の減額になる。

改革の特徴は公務員の職務の性質によって差が設けられたことであり、一般業務と異なりその職務に危険を伴う警察、消防等の統制業務では、給与は資格のみに依拠するのではないので、減額幅は押えられ、最大でも約17%に止められた。

次に、1999年度だけでも26億ドルに上った臨時諸手当の合理化の必要が会計検査委員会から指摘されてきたが、12月16日、職務代行手当と残業手当が押えられることが明らかになった。

職務代行については従来、休暇中の同僚や上司の職務代行、又は昇格前の試用期間に対して、1週間から2週間でその職務相当の手当が支払われていたが、この期間は最低30日に延長されることになった。ラム・ウーン・クゥオング公務員担当長官によると、これによって1999年に7億600万ドルにのぼった支出から、年間2億ドルの節減が見込まれることになる。

また、残業手当は公務員給与全体の3%に当り、1999年度では全体で17億ドルに達していたが(トップの郵便局では給与全体の30%)、これが公務員給与全体の2.5%に押えられることになり、全部局に今年度の追加支給はなされないことになった。デニス・ユウ通商産業長官は、残業手当支給の具体的判断については各部局に委ねるしかないが、政府は無駄な支給に対して警鐘を鳴らしていくとしている。

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