(香港特別行政区)失業率上昇、第3四半期GDPは4.5%増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

1999年10月に若干景気回復の兆しを見たものの、政府発表の11月16日の労働市場統計によると、8月~10月期の失業率は6.2%で、7月~9月期より0.1ポイント上昇した。不完全雇用率は3.1%で前期と同じだった。ただ就業者数は1万4900人増加して、351万3900人になっている。

タン・クウォン・ユウ政府エコノミストによると、建設、卸売、不動産、情報通信等の部門での失業の減少を、レストラン、ホテル、小売、金融等の部門での失業の増加が上回ることになった。また同氏は、女性の労働市場への参入が、若干失業率が上昇したことに寄与したとしている。つまり夏期休暇の後、子弟の新学期開始とともに、主婦層が短期雇用やパートタイム雇用で労働市場に新たに参入したことが起因していると述べている。また、ジョセフ・ウォン教育人材長官は、労働局の仲介による就労者数が6カ月連続で増加したことに注意を喚起している。10月の増加数は4810人で、これは前月比で14%増、前年同月比で35%増だった。

ただ、工連会(FTU)の調査で、労働者の87%が1998年度賃金カットないし凍結を受けたとの結果も出ており、労働者の就労条件の厳しさが示唆されており、また職工会連盟(CTU)のスポークスマンも、この時期の女性の労働市場への参入は例年あることで、特に問題とするにたりないとしている。

このように依然として高い失業率が続く中で、景気は市場の予想を上回る回復を示しており、11月26日政府発表の統計で、1999年第3四半期の国内総生産(GDP)は、前年同月比で4.5%増大した。

第2四半期にGDPは前年同期比で0.7%増大して、若干の回復基調を示していたが、第3四半期については、殆どの現地在住エコノミストは3.1%から3.5%の範囲内での成長を予測していたので、4.5%という数字はこれを遙かに上回るものとなった。ドナルド・ツァン財務長官は、8月に政府の前半6カ月の経済報告を発表した時には、年間経済成長予測の上方修正に踏み切らなかったが、今回予測を上回る景気回復を受け、年間成長予測を従来の0.5%から1.8%に修正するとした。

タン政府エコノミストによると、このような回復の機動力となったのは輸出の増加で、1999年第3四半期は前年同月比で7%増加した。これは第1四半期、第2四半期が、それぞれ前年同期比で10%減少、8%減少だったのと比べると大幅な増加である。タン氏は、アジア諸国が過去2年間の経済危機からゆっくりだが着実に回復してきており、アジア地域の香港における重要貿易相手国の輸入が増加していることが背景にあるとしている。同氏は、日本経済の回復がまだ弱い等さらに不安定要因もあるが、香港の景気回復基盤の拡大兆候も見え、この景気回復基調はさらに第4四半期にも継続するだろうとしている。またこの予想を上回る景気回復を受けて、失業率についても、7月~9月期が季節調整値で6.1%だったことを挙げ、労働市場も安定してきていると述べている。

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