上海:求職市場で私営企業が人気上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

上海の求職市場では、かつて外資企業に最も人気が集まったが、1990年代末から求職者の中では中小規模の私営企業が静かなブームとなった。新華社に次ぐ中通通信社は1999年8月における上海市の求職と採用の統計を発表したが、各種企業の求人充足率を比較すると、国有企業は11%、外資企業は20%、集団所有制企業は25%に対して、各種の株式企業、有限責任制企業或いは私営企業といった中小民営企業は80%となっている。この数年間の努力を経て、中小私営企業は着実に成長し、求職者にとって魅力的な就職先となっており、労働力吸収に大きな役割を果たすようになった。

求職者の人気が集中する就職先がかつての外資企業から私営企業に移った理由として、まず、外資企業は求職者の年齢、キャリア、技能資格などに対する要求が厳しいのに対して、私営企業はもっと求職者の実質的な能力を重視するというフレキシブルな姿勢をもっていることが挙げられる。そして、1997年以降のアジア金融危機とその余波の影響を受けて、高収入の魅力という外資企業の優勢が低下し、募集条件が厳しい割に所得面での期待感が弱まり、求職者に二の足を踏ませる状況となったのである。さらに、求職者の目が外資企業から私営企業に移ったことは、求職の際の「見栄」を捨て、自分に相応する職を求める社会全体の成熟度の向上とも受けとめられている。

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