(香港特別行政区)公務員初任給大幅カット

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

香港の公務員給与は、「公務員給与と勤務条件に関する常任委員会」が民間企業の給与水準動向を被雇用者の教育的背景を考慮して調査し、これとの比較を基にして決定されるが、行政会議内閣に相当)は1999年7月20日、同委員会の調査に基づく公務員部局の勧告を了承し、これにより公務員の初任給は職種に応じ、5.8%から31.3%の幅でカットされる見通しとなった。

勧告は、133の民間企業の異なる16職種に属する被雇用者の初任給調査に基づくが、今後10月まで公聴会が開かれ、最終決定は年末までに行われる予定である。この勧告が実施されると、2000年4月以降、毎年5000人の新規採用公務員が影響を受けることになる。ただし、現時点で既に採用されている公務員は、給与のカットも凍結も行われないことになっている。

この勧告によると、31.1%の最も大幅なカットを受けるのは、検察官、連絡将校等を含む A レベル職種で、月収は1万5160ドルから1万420ドルに減少する。この他の職種の主なところでは、幹部候補生として採用される大卒の給与は23.4%のカットで、月収2万1010ドルから1万6095ドルに減り、建築士やエンジニア等の専門職種では20.4%のカットで、月収3万5285ドルから2万8075ドルに減らされる。カット幅が5.8%と最小なのは補助事務員で、月収は8625ドルから8125ドルになる。この勧告が実施されると、政府は年間1億6000万ドルの経費を節減できることになるという。

この勧告に対する評価は分かれ、企業は支持を表明しているが、労組の一部は批判している。特に公務員関係労組は、この勧告の基になる調査が景気低迷の時期になされたので公正を欠くとしており、先任非移入者公務員連盟のルン・チ・チュ博士は、この初任給カットによって、景気回復後の公務員の離職が助長されることになるのではないかと懸念を表明している。また香港中華公務員連盟は、公務員部局は3~4年後に勧告の見直しを行うとしているが、景気回復後に採用される経験の浅い公務員の給与が、景気低迷期に採用された公務員の給与よりも高くなる可能性が生じると批判している。

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