(香港特別行政区)失業率21カ月ぶりに低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

2期連続で失業率6.3%を記録し、最悪記録の更新が続いていた香港の労働市場で、約2年ぶりに失業率が低下した。政府の1999年7月19日発表の統計によると、香港の失業率は、アジア経済危機が始まった時期の1997年9月以来、21カ月ぶりに低下し、1999年4月~6月期の失業率は6.1%となり、失業者数も前期比で3700人減少し、21万2000人になった。不完全雇用率は2.9%で、前期比で0.1ポイント低下した。

失業率の低下が生じたのは主に建設業、製造業、ホテル業、運輸業、輸出入部門等で、不完全雇用が低下したのは、製造業、運輸業、飲食業等である。

ただ政府関係者、労働組合、研究者とも、この失業率の低下に対して慎重な態度を示している。タン・クゥオン・ユウ政府エコノミストは、0.2ポイント程度の失業率の低下では市場の改善を楽観視できず、向こう何カ月かの間に学生が労働市場に新規に参入することを考慮に入れれば、失業率は当分の間高い率で推移し、特に若年層の間でこの傾向は顕著になろうとしている。工連会FTU)の立法会議員チャン・ユエン・ハン氏は、この失業率の低下は季節的な調整がなされたために過ぎず、特に6%台の数字を考えれば、失業問題に対して何らの解決にもなっていないとしている。また中華大学経済学部のチョン・タイ・ルン助教授は、政府発表の統計は旧正月後の人員整理が一段落したことを示すに過ぎず、失業問題が何らかの改善を示してきたと言えるためには、向こう2カ月の間に失業率がさらに0.5ポイント以上低下しなければならないとしている。

ジョセフ・ウォン教育・人材長官は、政府の向こう数カ月間の最優先課題は、新たに労働市場に参入する学生を考慮して、若年層の職業訓練計画を実施することであるとしているが、この計画は1999年7月21日の雇用のための作業部会の会合で一部具体化され、今後の動きが注目される。

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