メールマガジン労働情報 No.2049

■□――【メールマガジン労働情報/No.2049】

米関税対策に「万全期す」と首相、骨太方針に向け財政健全化の取組明示も/政府 ほか

―2025年4月11日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】米関税対策に「万全期す」と首相、骨太方針に向け財政健全化の取組明示も/政府 ほか
【統計】3月の街角景況感、3カ月連続で低下、前月判断を踏襲/景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】加重平均1万7,358円・5.42%に/連合の第3回回答集計 ほか
【動向】2024年度「人手不足」関連倒産は過去最多の309件/民間調査  ほか
【海外】AIの雇用への影響、「コンピュータ」関連職種では需要増も/労働統計局分析 アメリカ
【イベント】2025年度「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」を募集/東京都

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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー25-04
『有配偶女性の就業と家計間の所得格差 ―「国民生活基礎調査」を用いた考察―』

「国民生活基礎調査」(1986年~2022年)の個票データを用いて、有配偶女性の就業が家計間所得格差に与える
影響を分析しました。その結果、有配偶女性に対する就業支援は単なる労働力確保策にとどまらず、所得格差是
正策としても重要な意義を持つことが示唆されました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-04.html

◇ディスカッションペーパー25-05
『職業分類別に見る就業者の仕事に関する価値観の傾向―ワークスタイルチェックテストの得点を用いて―』

当機構が開発したワークスタイルチェックテストを用いて、職業分類別に見る就業者の仕事に関する価値観の
傾向を分析しました。
大分類ごとに価値観傾向に特徴が見られ、多くの大分類に共通していたのは「地位」を最も重視していない点と
「仕事と生活のバランス」を最も重視している点でした。一方、「自己成長」「社会貢献」「経済性」を重視
する順番および得点水準は大分類によって異なることが示されました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-05.html

◇ディスカッションペーパー25-06
『父親の残業削減は育児分担のジェンダー平等につながるか?―稼得役割と育児内容に着目して―』

仕事と育児のジェンダー平等につながる労働政策の実現に向けた課題を明らかにすることを目的に既存データの
二次分析を行いました。小学校低学年に当たる9歳以下の子どもと同居する男女の分析結果からは母親が正規雇用
である場合や労働時間が長い場合は家計貢献度が高いことなどが明らかになりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-06.html

◇調査シリーズNo.254『「デジタル人材」の能力開発・確保をめぐる企業の取り組みに関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/254.html

◇調査シリーズNo.253『社会人の学び直し調査―文系専攻者の理転に着目して―』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/253.html

◇資料シリーズNo.291『台湾の労災保険・補償制度の歩み―労災保険保護法の制定を中心に―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2025/291.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇新刊のご案内
 研究双書『失業の心理学─失業から再就職への橋渡し─』(榧野潤・西垣英恵 著)

本書は、労働市場の構造的問題に注目し、100年近くにわたる心理学研究の蓄積と、著者が当機構で積み重ねて
きた実証的研究成果をもとに、失業者の心理と求職行動を科学的に分析した一冊です。
効果的な支援を実現するための新しい研究アプローチを提示するとともに、再就職支援の実務に資する16の提言
を収録しています
【A5判428頁 定価:3,850円(本体3,500円) 3月31日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/sosho/unemployment/index.html

◇新刊のご案内
 『新時代のキャリアコンサルティング[増補版]―現在と未来、理論と実践をつなぐ新たな架け橋―』

本書は、新旧のキャリア理論、カウンセリング理論を網羅し、実践との結びつきを意識して紹介した一冊です。
今回、9年ぶりに改訂した[増補版]では、キャリア理論とカウンセリング理論それぞれ12項目、あわせて24項目
を追加し、伝統的・基礎的な理論を拡充しつつ、新たな内容も網羅しています。キャリアカウンセラーや職業相談、
学校でキャリア教育に携わる方などどなたでも幅広く活用できる標準的な内容となっています。
【A5判312頁 定価:2,200円(本体2,000円) 3月21日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/shinjidai2025.html

◇『労働関係法規集2025年版』好評発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。2025年版では、
「子ども・子育て支援法」「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託
に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」などを新たに
収録するとともに、「次世代育成支援対策推進法」「雇用保険法」などの改正法令も収録しています。
【B6判変型1,332頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月14日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集中!

<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

★2026年度 職員(事務職員)募集について
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2025/index.html

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【行政】
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●米関税対策に「万全期す」と首相、骨太方針に向け財政健全化の取組明示も/政府

政府は10日、経済財政諮問会議を開催し、米国の関税措置に対する経済財政運営及び経済再生と財政健全化の
両立について議論した。首相は、措置の発動について「一部につき90日間の一時停止を表明したとはいえ、極め
て遺憾」と強調。関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な対策に万全を期すとした。
また、6月頃策定予定の骨太方針に向け、今後の財政健全化に向けた取組を示すよう検討を指示。公的制度の
単価については、デフレ時代のまま据え置かれているものがないか等の観点から省庁横断的に点検し、今後の
予算に反映するとした。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202504/10keizai.html
▽資料
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0410agenda_00003.html

●米国関税措置に関連して、中小企業取引での労務費上昇等の価格転嫁への配慮を要請 /経済産業省

経済産業省は7日、自動車関連産業の事業者団体に対し、「米国自動車関税措置等により影響を受ける中小
企業との取引に関する配慮」を要請した。米国による自動車に対する追加関税措置(3日付)により、広範な
輸出品目に対する追加関税が課されることに関連して、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁や取引適正
化の取組が阻害されることのないよう、労務費等の上昇によるコスト増加に関する価格転嫁の取組を継続する
ことを求めている。
https://www.keidanren.or.jp/announce/2025/0409_betten.pdf

●「地域雇用活性化推進事業」実施地域を募集/厚労省

厚生労働省は4日、雇用機会の不足や過疎化の進む地域が特性を生かし「魅力ある雇用」「それを担う人材」
の維持・確保を図るため、創意工夫する取組を支援する「地域雇用活性化推進事業」実施地域を募集している。
企画書の提出期間は6月2日まで、提出先は応募地域を管轄する労働局。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49299.html

●法人の対応は組合の弱体化等を図る行為とまではいえないと判断/中労委

組合からの非常勤講師の無期転換等を議題とする団交申入れに対し、法人が団交ではなく任意の交渉として話し
合いに応じるとした対応等が労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件
の再審査事件において、中央労働委員会は4月4日、法人の対応は誠実な交渉態度であったとはいえず第2号に
該当するが、組合の弱体化等を図る行為とまではいえず第3号には該当しないとして初審命令主文を一部変更した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070407-1.pdf

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【統計】
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●3月の街角景況感、3カ月連続で低下、前月判断を踏襲/景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、3月の「景気ウォッチャー調査」結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI
(季調値)は、前月差0.5ポイント低下の45.1で3カ月連続の低下。
家計動向関連DIは0.1ポイント、企業動向関連DIは0.5ポイント、雇用関連DIは3.9ポイント、いずれも低下
した。先行き判断DIは、前月差1.4ポイント低下の45.2。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が
続いているものの、このところ弱さがみられる」と現状は前月判断を踏襲しつつ、先行きは、「賃上げへの期待が
ある一方、従前からみられる価格上昇の影響に加え、米国の通商政策への懸念もみられる」とした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0408watcher/menu.html

●2月の景気動向指数、基調判断「下げ止まりを示している」で据え置き /内閣府

内閣府は7日、2025年2月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は116.9で、
前月と比較して0.8ポイント上昇し、3か月連続の上昇となった。プラスに寄与したのは「輸出数量指数」や
「投資財出荷指数(除輸送機械)」など。一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」とした。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202502psummary.pdf

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【労使】
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●加重平均1万7,358円・5.42%に/連合の第3回回答集計

連合(芳野友子会長)は3日、2025春季生活闘争の第3回回答集計結果(1日10時時点)をまとめた。
平均賃金方式で回答を引き出した2,485組合の定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は1万7,358円で前年
同時期比1,321円増。賃上げ率は5.42%で、前年同時期を0.18ポイント上回った。300人未満の中小組合(1,441
組合)の加重平均は、1万3,360円・5.00%で、昨年同時期(1万2,097円・4.69%)を上回るとともに前回集計
の賃上げ率(4.92%)も上回った。業種別では、24春闘で伸び悩んでいたサービス・ホテルと交通運輸の賃上げ
率の上昇が目立つ。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250411a.html

●ベア・賃金改善の平均回答額は1万981円で、2014年以降で最高の水準に/金属労協2025闘争の3月末現在の回答状況

金属労協(JCM、金子晃浩議長)は2日、2025闘争における3月31日現在の賃金引き上げなどの回答集計結果を
発表した。ベア・賃金改善などの賃上げの回答額の全体平均(単純平均)は1万981円で、この時期の水準として
は、賃上げが復活した2014年以降で最高となった。同日、本部で開かれた記者会見で金子議長は、「中小を含めた
後続組合の健闘ぶりが非常にいい流れになっている」と話した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250411b.html

●正社員の制度昇給とベアなどを合わせた引き上げ率は5.14%に/UAゼンセンの第3のヤマ場(3月末)の回答状況

UAゼンセン(永島智子会長)は4日、2025労働条件闘争の第3のヤマ場(3月末)を終えた4月1日午前10時
時点の妥結集約を発表した。正社員の制度昇給とベアなどを合わせた「総合計」での引き上げ率は5.14%で、
規模別にみると、「300人以上」「300人未満」ともに「総合計」での引き上げ率は5%を超えている。
また、短時間組合員の時給の引き上げ率(6.08%)は、正社員組合員の引き上げ率(前述の5.14%)より高く
なっており、この時期で正社員を上回るのは10年連続となった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250411c.html

●単純平均8,337円・3.10%/国民春闘共闘委員会の第3回賃上げ集計

全労連や中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は1日、2025春闘の
第3回目の賃上げ集計を公表した。3月27日までに660組合が回答を引き出し、有額回答のあった415組合の単純
平均は前回(第2回)集計より310円、第1回集計と比べると838円高い8,337円。率も前回を0.16ポイント、
第1回を0.31ポイント上回る3.10%となった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250411d.html

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【動向】
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●2024年度「人手不足」関連倒産は過去最多の309件/民間調査

東京商工リサーチは8日、2024年度の「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)が過去最多の
309件(前年度比60.9%増)だったと公表した。「人件費高騰」110件(同69.2%増)、「従業員退職」が77件
(同57.1%増)、「求人難」が122件(同56.4%増)と、すべての要因で過去最多を記録。資本金別では、
1千万円未満が201件(構成比65.0%)と約3社に2社が小・零細企業としている。2024年4月~2025年3月の
全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、後継者難倒産を除く「人手不足」関連倒産を分析したもの。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201258_1527.html

●2024年度の倒産は1万件超、人手不足倒産、物価高倒産が過去最多を更新/民間調査

帝国データバンクは8日、「倒産集計 2024年度報」を公表した。倒産件数は1万70件で、前年度比13.4%増。
3年連続で前年度を上回り、2013年度以来、11年ぶりに1万件を超えた。業種別では、全業種で前年度を上回り、
『サービス業』(2638件、同20.6%増)が最多で、『小売業』(2109件、同12.5%増)、『建設業』(同1,932件、
同10.5%増)と続く。人手不足倒産は350件、昨年度(313件)に続き2年連続で300件超、物価高倒産は925件
といずれも過去最多を更新した。「後継者難倒産」(507件)は、2年連続で500件を超え、2023年度(586件)
に次ぐ過去2番目の件数となった。
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/g2-5yfk9w/

●従業員の服装・身だしなみの決まり緩和した企業3割以上/民間調査

マイナビが4日発表した調査結果によると、企業のアルバイト採用担当者に聞いたところ、直近5年間で従業員の
服装・身だしなみの決まりを緩和した割合は31.8%だった。緩和内容は「服装(指定の制服等)」が51.9%で最多、
「服装の色」「髪色」と続く。また、学生の34.2%が「服装・身だしなみが理由で応募を辞退」と回答。服装・
身だしなみが応募意欲や就業先決定に影響ありとしている。
https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48252.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽AIの雇用への影響、「コンピュータ」関連職種では需要増も/労働統計局分析

米労働省労働統計局(BLS)はこのほど、AI(人工知能)の普及により雇用が縮小するといわれる職業の、2023年
から33年までの雇用の変化を予測するレポートを発表した。それによると、「コンピュータ関連」の一部では、
AIの導入や維持のため、雇用需要が高まる可能性がある。「ビジネス・金融関連」では、AIによって自動車事故等
の損害の見積もりなどを迅速に積算できるようになるため、鑑定士や査定員の雇用需要が減少する。「建築・技術
(エンジニアリング)関連」ではAIによる生産性の向上の影響は、過去数十年間のソフトウェアなどの技術の進歩
によるものと同程度になる可能性があり、雇用の大幅な減少は見込まれないと分析している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/04/usa_01.html

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【イベント】
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●2025年度「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」を募集/東京都

東京都では、従業員の生活と仕事の両立に向けて優れた取り組みをしている中小企業等を表彰するため、「東京
ライフ・ワーク・バランス認定企業」を募集している。認定企業に選定されると、都が取組内容を紹介する
「DVD及びリーフレット」を作成するほか、認定企業ロゴマークを自社の名刺やHPで表示することが
できるなどの特典を受けられる。応募対象は、都内に本社又は主たる事業所を置き、常時雇用する従業員数が
300人以下の企業、団体等。応募期限は5月27日(火)17時まで。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/hatarakikata/lwb/ikiiki/nintei/