■□――【メールマガジン労働情報/No.2050】
「政労会見」16年ぶりに開催、賃上げ波及に「あらゆる施策を総動員」と首相 ほか
―2025年4月16日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「政労会見」16年ぶりに開催、賃上げ波及に「あらゆる施策を総動員」と首相 ほか
【統計】2024年10月の総人口、14年連続減の1億2,380万人/総務省 ほか
【労使】単純平均5.21%の賃金改善/サービス連合の春闘中間報告
【動向】正規雇用看護職員の離職率は11.3%に/日本看護協会調査
【企業】育休取得者の同僚への手当支給ほか、新制度を導入/エスエス製薬 ほか
【海外】中小企業協会と与党青年組織、AI導入支援センター提案/シンガポール時事
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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー25-07
『外国人技能実習生のキャリア選択と仕事環境―広島県アンケート調査の2次分析から―』
広島県が実施したアンケート調査の2次分析から、実習を修了した外国人技能実習生のキャリア選択の志向性
を「勤続」「転籍」「帰国」「転職」に4類型化し、「給料や働く条件」「会社の人が親切」といった仕事
環境類型の効果を分析しました。その結果、「勤続」志向を最も選択しやすいのは「給料や働く条件」「会社
の人が親切」の双方を選択した場合であり、賃金だけでなく職場のコミュニケーション充実が、外国人技能実
習生の職場定着を促進しうることが示唆されました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-07.html
◇ディスカッションペーパー25-04
『有配偶女性の就業と家計間の所得格差 ―「国民生活基礎調査」を用いた考察―』
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-04.html
◇ディスカッションペーパー25-05
『職業分類別に見る就業者の仕事に関する価値観の傾向―ワークスタイルチェックテストの得点を用いて―』
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-05.html
◇ディスカッションペーパー25-06
『父親の残業削減は育児分担のジェンダー平等につながるか?―稼得役割と育児内容に着目して―』
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-06.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★JILPTリサーチアイ 第85回
「外国人材に選ばれる地域・企業・日本─広島県でのアドバイザー業務を通して得た知見から─」
山口 塁 研究員
2024年6月の入管法等の改正に伴い、1993年から続く技能実習制度が廃止され、新たに育成就労制度が創設され
ることが決まった(2027年開始予定)。これに先立ち、2019年4月には、深刻な人手不足に対応するための
外国人労働者受入れを目的とする特定技能制度の運用が始まっている。特定技能制度の在留資格は、特定産業
分野に属する「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事」する特定技能1号と、「熟練
した技能を要する業務に従事」する特定技能2号にわかれる。2024年末現在の特定技能1号外国人数は28万
3,634人であり、特定技能2号外国人数は832人である(出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国
人数について」)。現在、特定技能外国人の多くは技能実習修了者だと考えられるが、新設予定の育成就労
制度はこの特定技能制度との連続性を担保し、長期的に日本の産業を支える人材を育成・確保することを目的
としている
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/085_250414.html
★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集中!
<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
★2026年度 職員(事務職員)募集について
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2025/index.html
◇新刊のご案内
研究双書『失業の心理学─失業から再就職への橋渡し─』(榧野潤・西垣英恵 著)
【A5判428頁 定価:3,850円(本体3,500円) 3月31日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/sosho/unemployment/index.html
◇新刊のご案内
『新時代のキャリアコンサルティング[増補版]―現在と未来、理論と実践をつなぐ新たな架け橋―』
【A5判312頁 定価:2,200円(本体2,000円) 3月21日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/shinjidai2025.html
◇『労働関係法規集2025年版』好評発売中!
【B6判変型1,332頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月14日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html
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【行政】
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●「政労会見」16年ぶりに開催、賃上げ波及に「あらゆる施策を総動員」と首相
石破首相は14日、芳野連合会長らとの「政労会見」に出席し、2025春季生活闘争における賃上げ状況等について
意見交換を行った。政労会見の開催は16年ぶり。首相は、賃上げが前年水準を上回る結果(連合第3回集計)と
なったことに「着実に施策が実を結んできている」と指摘。また、米国の関税問題で中小企業にしわ寄せが
いかないよう「必要な対策に万全を期す」とし、賃上げが全国波及するため「適切な価格転嫁の推進、
生産性の向上、事業承継やM&Aの後押しなど、あらゆる施策を総動員する」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202504/15seiroukaiken.html
▽連合ニュース
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2216
●労災保険制度の「メリット制」など議論/厚労省研究会
厚労省は4日、第5回労災保険制度の在り方に関する研究会を開催し、個別事業場の災害の多寡に応じ労災保険
率又は保険料を増減する「メリット制」に関する論点として、「メリット制は今日でも意義・効果があるといえ
るか(適用対象は妥当か、災害防止に効果があるのか)」、「メリットの算定対象は妥当か(特定の疾病、
高齢者や外国人労働者をメリット収支率の算定対象外とすること)」を示し、議論を求めた。また、メリット制
適用事業主への情報提供のあり方等の徴収手続の課題に関する論点ついても検討した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56726.html
●医師の働き方改革、ICT活用で勤務環境改善のモデル支援事業を公募/厚労省
厚生労働省は11日、医師の働き方改革を進めていく上で、労働時間の短縮等の医療機関における勤務環境改善の
ための取組を推進するためには、ICT機器を活用した業務効率化の取組が重要であり、「ICT機器を活用した
勤務環境改善の先駆的取組を行うモデル医療機関調査支援事業」の公募要領を策定した。公募期間は7月10日(木)
まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56842.html
●100億企業への飛躍的成長を後押し、ポータルサイトをオープン/中小企業庁・中小企業基盤整備機構
中小企業庁及び中小企業基盤整備機構は11日、売上高100億円を目指し挑戦する企業・経営者を
応援するプロジェクトの特設サイト「100億企業成長ポータル」をオープンした。「中小企業成長加速化補助金」
「経営者ネットワーク」など飛躍的成長をサポートする施策情報や事例発信、「100億宣言」を行った企業の
紹介などを行う。
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250411006/20250411006.html
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【統計】
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●2024年10月の総人口、14年連続減の1億2,380万人/総務省
総務省は14日、2024年10月1日現在の人口推計を公表した。総人口は1億2,380万2,000人、前年同月比55万人
(0.44%)の減少で、14年連続の減少。自然増減(出生児数-死亡者数)は89万人減少で18年連続の自然減少
となり、減少幅は拡大。社会増減(入国者数-出国者数)は入国者が出国者を34万人上回り、3年連続の社会
増加。日本人・外国人の別では、日本人は2,000人の減少、2年ぶりの社会減少。外国人は34万2,000人の増加
で、3年連続の社会増加となった。15歳未満人口は前年に比べ34万3,000人の減少。15歳未満人口の割合が75歳
以上人口の割合を上回るのは沖縄県のみ。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2024np/index.html
▽結果の要約(ポイント)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2024np/pdf/2024summary.pdf
▽結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2024np/pdf/2024gaiyou.pdf
●1年前と比べ「物価上昇を実感」96%超/日銀・生活意識アンケート調査
日本銀行は11日、生活意識に関するアンケート調査(第101回・2025年3月)の結果を発表した。現在の景況感DI
(「良くなった」-「悪くなった」)はマイナス59.8で前回(12月)調査より3.9ポイント悪化。暮らし向きDI
(「ゆとりが出てきた」-「なくなってきた」)はマイナス52.0で小幅に改善した。雇用環境については、
「1年後をみた勤め先での雇用・処遇の不安」を「あまり感じない」と「かなり感じる」が横ばいだったこと
から、雇用環境DIは横ばいとなった。物価に対する実感(1年前対比)は、「かなり上がった」が73.7%、
「少し上がった」が22.4%で、96.1%が物価上昇を実感している。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2504.pdf
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【労使】
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●単純平均5.21%の賃金改善/サービス連合の春闘中間報告
ホテルやレジャー施設、旅行会社・国際航空貨物取扱会社などの労働組合でつくるサービス連合(櫻田あすか
会長、4万人)は8日、都内でオンライン併用の記者懇談会を開き、2025年の春季生活闘争(春闘)の中間
報告(3月末現在)を発表した。これまでに36の組合が経営側と合意。このうち賃金改善については21組合が
合意した。賃金カーブ維持分といわゆるベースアップに相当する「実質的な賃金改善分」をあわせて5.21%
(単純平均)の改善を獲得。なかには、6%を超える水準で合意した組合も7組合みられている。櫻田会長は
「会社と人手不足に対する課題感や人への投資の重要性について共通認識を持てていることが、結果につな
がっている」などと述べ、現時点での取り組み内容を評価した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250416a.html
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【動向】
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●正規雇用看護職員の離職率は11.3%に/日本看護協会調査
日本看護協会(高橋弘枝会長)は先ごろ、「2024年病院看護実態調査」結果を公表した。それによると、
看護職員の離職率は11.3%で前年度から微減。新卒採用看護職員の離職率は、過去2年は10%台だったが、
今回は8%台に改善した。看護職員の給与(平均)は、税込で「高卒+3年課程」の新卒が前年より9,569円
増えて27万6,127円、「大卒」の新卒も同9,311円増の28万4,063円、勤続10年(31、32歳)の非管理職は
同7,650円増の33万4,325円と、いずれも上昇。労働環境については、薬剤師・理学療法士・臨床検査技師
などへのタスク・シフト/シェアやICTの利活用が一定程度進んでいることがわかった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250416b.html
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【企業】
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●育休取得者の同僚への手当支給ほか、新制度を導入/エスエス製薬
エスエス製薬は3月27日、育児に携わる従業員やその同僚へのサポートを中心とした新たな社内制度の導入を
発表した。主な内容は、育休取得者の所属チームメンバーに対する最大10万円の手当支給、0~9歳の子どもを
育てる従業員へのベビーシッタークーポン配布(月最大20時間の補助)、家事代行サービス手当(月1万円分。
全従業員に展開予定)、“10年目の壁”解決に向けた独自のメンタリングプログラムの実施(6回のセッション、
メンターのアサイン)、および育児中の従業員同士のコミュニティ「ライフアドバイスクラブ」の立ち上げ。
これら制度は、育児・介護休業法の改正に合わせ2025年4月より導入。
https://www.ssp.co.jp/news/2025/20250327/
●バイト全員が「スポット」 人手確保へサブウェイに導入/ワタミ
ワタミは10日、仕事や家事の空き時間を使って働く「スポットワーク」仲介アプリ大手のタイミーと業務提携し
たと発表した。ワタミが運営するサンドイッチチェーン「SUBWAY(サブウェイ)」で、全アルバイト従業員を
タイミーで集める仕組みを導入する。人手不足の中でも働き手を確保し、出店加速につなげる。
横浜市で同日オープンした旗艦店で開始した。店長と社員以外のすべての従業員をタイミーを通じて募集。
未経験者には事前研修を実施する。経験を積んだ従業員をタイミーが正社員に採用し、店長として派遣する、
外食大手初の取り組みも始める。24日に東京・新宿で開業する新店は店長を含む全従業員をタイミーで賄う。
ワタミは、現在約200店のサブウェイを2034年に1,065店に増やす計画を掲げる。渡辺美樹会長兼社長は10日の
記者会見で「タイミーの登録者1,000万人がサブウェイの働き手になる」と述べ、人手確保に自信を示した。
(時事通信)2025年4月10日 ※リンク先なし
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【海外】
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●中小企業協会と与党青年組織、AI導入支援センター提案/シンガポール時事
シンガポール中小企業協会(ASME)と与党人民行動党(PAP)の青年組織は4日、中小企業の人工知能(AI)
導入支援を目的とした「AI導入に関する政策文書2025」を発表した。中小企業がAIを円滑に導入できるよう
支援施策を提案した。
AIに関する規制、助成金申請、実装に関する専門的な相談窓口となる「ワンストップAIコンサルティング
センター」の設立が主な提案。同センターは、ネットワーキングやトレーニング機能も兼ね備え、AIに関心を
持つ企業と人材の結合を促す。
また、技術専門学校の技術教育研究所(ITE)やポリテクニック(高等専門学校)の学生をAIシステム
操作やデータ解釈に強い「AIスーパーユーザー」として育成し、中小企業の現場に技術的な支援をもたらす。
さらに、インターンシップ制度の改善を通じて学生と企業のマッチングの質を高めることや、小規模事業者
にも導入可能な低コストのAIソリューションの開発も提案した。
ASMEのアン・ユイット会長は声明で、「中小企業がAIを導入するには高コストや専門知識の不足、規制に
対する不安など多くの壁がある。それらの障壁を取り除き、より多くの企業がAIの恩恵を受けられるように
することを目的としている」とコメントした。(シンガポール時事)2025年4月4日 ※リンク先なし