資料シリーズNo.291
台湾の労災保険・補償制度の歩み
―労災保険保護法の制定を中心に―

2025年4月3日

概要

研究の目的

台湾の労働者を対象とする労災保険制度と、クラウドワーカー等就労者を対象とする災害補償制度の解明、2022年労災保険保護法の内容とその特性の検討。

研究の方法

文献サーベイ、研究会の開催

主な事実発見

台湾の場合、労災保険保護法が施行される前、労災保険を扱う特別法は存在せず、その適用範囲と保障水準は限られていた。これを補うため、台湾は使用者に民事法上の補償責任を負わせようとしたが、依然と充分な補償を得られない者が多く、そこで政府はさらに労災労工保護法を作り、保険によって充分な補償を受けられていない労働者と、労災保険に加入しなかった就労者を対象とする保護給付制度を設けた。この三重構造を解消するため、保険給付制度と保護給付制度を統合させ、保険適用範囲の拡大と給付水準の向上を図ったのは2022年労災保険保護法である。

労災保険保護法が施行される前から、使用者経由で社会保険に加入していない者は、職業組合員として社会保険に加入できるよう制度設計されてきた。この場合、保険料の一部は政府が補助する。労災保険保護法の下で、さらに特別加入制度が設けられ、クラウドワーカー等は、職業組合に加入しなくても、個人名義で労災保険に直接加入できるようになった。

政策的インプリケーション

台湾の場合、特定の使用者を持たない就労者や個人自営業者等は職業組合員として社会保険に加入することができ、さらに2022年労災保険保護法により、労工保険局のウェブサイトや、コンビニのマルチメディア端末等を利用して労災保険に個人名義で直接加入できるようになった。職業組合員として労災保険に加入する場合、保険料の一部を政府が補助することになる。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「多様な働き方とルールに関する研究」
サブテーマ「多様な/新たな働き方と労働法政策に関する研究」

研究期間

令和6年度

執筆担当者

仲 琦
労働政策研究・研修機構 研究員

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内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

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