資料シリーズ No.213
職業分類作業部会報告Ⅰ
―小分類項目の見直し―

2019年3月29日

概要

研究の目的

現行の厚生労働省編職業分類(2011年6月改定)は改定から7年以上が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、求人・求職者の職業認識と職業分類との乖離が生じている分野もみられる。また、統計上の整合性を保つ観点から日本標準職業分類の体系に準拠して作成されているため、求人・求職のマッチングに最適化されていないなどの課題が生じている。このため、厚生労働省編職業分類の次期改定のあり方について研究を行う。

研究の方法

労働政策研究・研修機構では、厚生労働省から職業分類の次期改定に関する研究の要請を受けて、2017年度から4年計画で職業分類の改定を進めている(図表1)。

4年計画の2年目にあたる本年度は、官民の委員で構成される職業分類作業部会を設置し、昨年度決定された改定の方向性を踏まえて、小分類項目の見直し作業を実施した。

図表1 厚生労働省編職業分類改定のスケジュール

図表1画像

主な事実発見・政策的インプリケーション

1.作業方針

小分類項目の見直しは、昨年度決定した改定方針に基づき、以下の作業方針に基づいて実施した。

  1. (1)小・細分類項目共通の原則

    日本標準職業分類と原則として対応がとれること。特に、一般職業紹介状況(職業安定業務統計)で使用される中分類項目以上のレベルでの対応を重視。

  2. (2)小分類項目の見直しにあたっての作業方針
    1. ア. 日本標準職業分類に対応する小分類項目については、原則として残す。
    2. イ. ただし、求人数が千件未満であり、①から③の場合に該当しなければ、廃止して統合。
      1. ① 国勢調査職業分類において、当該小分類項目が統合されていない場合
      2. ② 別の中分類項目に位置づけられている小分類項目であり、統合すると日本標準職業分類との対応や一般職業紹介状況(職業安定業務統計)の連続性が中分類レベル以上で確保できなくなる場合
      3. ③ 資格が明確に分かれており、求人も独自の職種名となっていることが多い等、小分類項目を分けておいた方がマッチングしやすいと考えられる場合
    3. ウ. 小分類項目を新設・分割する場合は、次の①②を考慮。
      1. ① ハローワーク調査結果
      2. ② 一定程度の求人数が見込まれること
    4. エ. 小分類項目を新設する場合も、別の中分類項目に位置づけられている職業の一部を統合して一つの小分類項目として新設することは原則として行わない。
  3. (3)細分類項目及び厚生労働省編職業分類独自の小分類項目の見直しにあたっての作業方針
    1. ア. 細分類項目については、原則として廃止する。
    2. イ. ただし、次の①②に該当する場合は小分類項目に格上げ。
      1. ① 求人数が多い場合
      2. ② 求職者数が多い場合
    3. ウ. イに該当しない場合でも、次の①②を考慮して、必要に応じて小分類に格上げ。
      1. ① 大・中分類項目内における割合やバランス
      2. ② ハローワーク調査結果等、マッチングの観点での必要性
  4. (4) 小分類項目名の見直しにあたっての作業方針
    1. ア. 日本標準職業分類の小分類項目に対応して設定されている小分類項目については、原則として、日本標準職業分類に使用されている名称に合わせる。ただし、職業紹介業務での実務利用の観点から労働市場で一般的に使用されている名称にも配慮。
    2. イ. 厚生労働省編職業分類の独自の小分類項目については、仕事の範囲、労働市場で一般的に使用されている名称、厚生労働省編職業分類利用者(ハローワーク、職業紹介事業者、求人者、求職者等)が共通理解を得られやすい名称を考慮して検討。

2.小分類項目の見直し結果

1の作業方針に基づいて見直し作業を実施した結果、今年度の作業部会での見直しの前後で、小分類項目数を比較すると、図表2のとおりであった。

細分類項目のうち、求人が多いもの等を小分類に格上げしているため、全体の傾向としては、改定案の小分類項目数は、現行の小分類項目よりは多く、細分類項目よりは少なくなっている。

図表2 小分類項目数の比較

図表2画像

ただし、小分類項目はこれで確定したわけではなく、来年度の大・中分類項目の見直しの中で調整を行っていくことに留意されたい。

政策への貢献

厚生労働省編職業分類の改定に活用される。

本文

本文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

プロジェクト研究「全員参加型の社会実現に向けたキャリア形成支援に関する研究」
サブテーマ「職業情報、就職支援ツール等の整備・活用に関する研究」

研究期間

平成30年度

研究担当者

西浦 希
主任研究員

関連の研究成果

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入手方法

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