資料シリーズ No.130
職業相関表―2万人のデータからみた職業の類似性―

平成26年 3月14日

概要

研究の目的

職業を理解するということは、職業選択を迫られる求職者や就職活動中の学生だけではなく、職業紹介担当者や学校の進路指導担当者にとっても等しく重要な課題である。現在、多種多様な媒体を通して職業情報が提供されているが、その多くは個々の職業の、他の職業と区別される独自の仕事内容や作業領域に焦点を当てた情報が中心になっている。職業にはそれぞれ他の職業と区別される独自性とともに、他の職業と共通する面や類似する面がある。職業理解を深めるためには、職業の独自性だけではなく、他の職業との共通性や類似性に関する視点を持つことも重要である。本研究では、既存の個別職業に関する情報を補足・補強するとともに、職業の相互比較を可能にするため、職業横断的な3つの指標について情報を収集し、それを職業データ集の形に整理・編集した。

研究の方法

職業に関する調査を2回実施し、必要なデータを収集した。

  1. 第1回調査
    • 時期: 平成24年9~10月
    • 方法: 調査会社のモニター登録者を対象にしたインターネット調査
    • 対象職業及び対象者:
      厚生労働省編職業の細分類にもとづいて設定した527の職業のいずれかに従事している在職者
    • 結果: 223のそれぞれの職業において20人以上の回答者を確保した(回答者計9,458人)
  2. 第2回調査
    • 時期: 平成25年6月
    • 方法: 調査会社のモニター登録者を対象にしたインターネット調査
    • 対象職業及び対象者:
      厚生労働省編職業の細分類にもとづいて設定した555の職業のいずれかに従事している在職者
    • 結果: 447のそれぞれの職業において30人以上の回答者を確保した(回答者計13,855人)
    • 調査終了後、回答内容を確認し、選択した職業と記述した仕事内容の一致しないものは集計対象から除外した。このため2回の調査で合計20人以上の回答者を確保できた職業は408(回答者計20,862人)になった。

データの収集・整理・編集

調査で収集したのは労働者機能、教育訓練、職業移動に関する情報である。

  1. 労働者機能

    人は仕事を遂行するとき、情報(Data)、人(People)、道具・機械(Things)の3つの点において何らかの機能を果たすことが求められる。労働者機能とは、仕事と人との関わり方をこれらの3つの点で評価したものである。D機能には7個、P機能には9個、T機能には8個の類型がある。これら3つの機能の合計24種類の類型の組み合わせによって労働者機能が表される。調査では、回答者が従事している具体的な仕事について該当するD機能、P機能、T機能のそれぞれの類型を尋ねた。

  2. 教育訓練

    いかなる職業においても一定程度の水準で職務を遂行するためには、それに必要な知識・スキル・経験が求められる。そのような知識・スキル・経験を獲得する機会は大別すると入職前と入職後に分けられる。調査では同じ職業に従事している者の学歴、入職前の学校教育や実務経験の種類、入職後の教育・訓練の種類、入職後に基本業務を一通りこなせるようになるまでに要した期間に関する情報を収集した。

  3. 職業移動

    個人ベースでみれば職業移動の理由は千差万別である。同じ職業から移動しても、その移動先は多岐にわたる。これらの移動を大量観察すると、多様性のある反面、ひとつの職業から特定の職業への移動が明確なパターンになって表れることがある。そのような職業移動は、ふたつの職業間の距離が近く、近接性が高いと評価できる。

    職業移動には、転出、転入、継続の3つの流れがある。転出は、ひとつ前の職業に視点を置いて、移動した人が現在どの職業に就いているかを表す。これに対して転入は、現在の職業に視点を置いて、ひとつ前にどのような職業に従事していた人が入職してきたかを表す。継続は、たとえ勤務先が変わっても、職業は変わらないことを表す。これら3つの流れを図示すると以下のようになる。

    図表1画像

    実線は現在の職業からみた職業移動(転入)の方向、点線はひとつ前の職業からみた職業移動(転出)の方向をそれぞれ表す。破線は同じ職業を続けていること(継続)を表す。

上述の3つの指標について職業ごとに回答結果を集計し、次の2通りの方法でデータを整理・編集した。

1. 職業別の整理・編集

集計対象の408職業を厚生労働省編職業分類の分類番号順に配列し、それぞれの職業に各指標のデータを掲載した。各職業の記述は次の8項目( ① ~⑧ )で構成されている。

図表2画像

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2. 指標別の整理・編集

類似している職業や共通点のある職業の固まりを容易に把握できるように指標ごとに408職業を区分・配列した。労働者機能と教育訓練については、それぞれ以下の通りグループ編成を行った。

(1) グループ編成の基準がひとつの場合

労働者機能の類型別(又は学歴区分別)に408職業を区分・配列した。

(2) グループ編成の基準が2つの場合

労働者機能を優先する場合、その類型を基本にして学歴区分との組み合わせで408職業を区分・配列した。教育訓練を優先する場合、学歴区分を基本にして労働者機能の類型との組み合わせで408職業を区分・配列した。

(3) グループ編成の基準が3つの場合

仕事に必要な知識・技術を身につけないで入職した者の割合が高い職業を抽出し、それらを労働者機能の類型と学歴区分との組み合わせで区分・配列した。

職業移動については、大・中・細分類職業ごとに転出先や転入元を掲載して、近接性の高い職業を明らかにした。

データ利用の留意点

本書は、職業の類似性や近接性に関するデータを試行的に整理したものである。職業について専門的知識を持つ者がデータの制約に留意して職業ガイダンスの場で一般的な参考資料、補足情報として使用することが望ましい。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「生涯にわたるキャリア形成支援と就職促進に関する調査研究」

サブテーマ「就職困難者等の特性把握と就職支援に関する調査研究」

研究期間

平成24年度~25年度

執筆担当者

西澤 弘
労働政策研究・研修機構 主任研究員

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.71)。

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