調査シリーズNo.267
ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査
概要
研究の目的
政府では、① リスキリングによる能力向上支援 ② 個々の企業の実態に応じた職務給の導入 ③ 成長分野への労働移動の円滑化――の3つを柱とした「三位一体」の労働市場改革や、デジタル人材育成の推進を重要課題に位置付けている。特にデジタル人材育成の推進については、我が国の基幹産業である「ものづくり産業」にも共通する課題であることから、ものづくり産業におけるデジタル技術活用の進捗具合と、それに向けた企業による人材確保・育成の状況等を把握するため、企業アンケート調査を行った。
研究の方法
企業アンケート調査。対象は、全国の日本標準産業分類(平成25年10月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、〔プラスチック製品製造業〕〔鉄鋼業〕〔非鉄金属製造業〕〔金属製品製造業〕〔はん用機械器具製造業〕〔生産用機械器具製造業〕〔業務用機械器具製造業〕〔電子部品・デバイス・電子回路製造業〕〔電気機械器具製造業〕〔情報通信機械器具製造業〕〔輸送用機械器具製造業〕の従業員数30人以上の企業2万社。総務省の経済センサス活動調査(令和3年版)確報集計での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。調査期間は2024年11月27日から12月23日。有効回収数は3,313社(有効回収率16.6%)。
主な事実発見
- デジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている工程をあげてもらったところ(複数回答)、「事務処理」(43.9%)の割合が最も高く、以下「生産管理」(43.7%)、「製造」(39.9%)、「受注・発注・在庫の管理」(35.2%)、「品質管理」(22.2%)、「企画・開発・設計」(20.4%)などと続く。「行っていない」とした企業は22.0%で、77.2%の企業が何らかのデジタル技術を活用した業務改善に取り組んでいる(図表1)。
図表1 デジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている工程(複数回答、業種別、規模別、単位:%)
デジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている工程をあげてもらったところ(複数回答)、「事務処理」(43.9%)の割合が最も高く、以下「生産管理」(43.7%)、「製造」(39.9%)、「受注・発注・在庫の管理」(35.2%)、「品質管理」(22.2%)、「企画・開発・設計」(20.4%)などと続く。「行っていない」とした企業は22.0%で、77.2%の企業が何らかのデジタル技術を活用した業務改善に取り組んでいる。 n 企画・開発・設計 製造 生産管理 品質管理 事務処理 受注・発注・在庫の管理 顧客やマーケットに関する情報の収集・分析 顧客対応を含めたサービスの提供 その他 行っていない 無回答 計 3,313 20.4 39.9 43.7 22.2 43.9 35.2 5.8 3.8 1.2 22.0 0.8 業種 プラスチック製品製造業 373 15.5 40.5 39.9 21.7 41.3 37.3 6.2 5.1 1.3 25.5 0.8 鉄鋼業 122 13.1 41.8 49.2 29.5 51.6 31.1 5.7 4.1 0.0 22.1 0.8 非鉄金属製造業 132 15.2 40.9 41.7 20.5 45.5 37.1 7.6 3.8 0.0 27.3 0.8 金属製品製造業 909 16.4 41.7 47.1 21.9 42.7 35.0 4.6 3.0 0.7 22.1 0.8 はん用機械器具製造業 179 24.6 39.7 43.6 21.8 47.5 39.1 5.0 2.2 1.7 17.3 0.6 生産用機械器具製造業 349 30.1 36.4 47.0 18.1 45.3 38.7 5.7 3.4 0.3 18.3 0.6 業務用機械器具製造業 175 28.0 35.4 39.4 20.6 49.7 39.4 10.3 9.1 1.1 22.9 0.0 電子部品・デバイス・電子回路製造業 189 18.5 43.9 39.7 24.9 38.1 31.2 6.9 5.3 2.6 29.6 1.1 電気機械器具製造業 408 24.0 35.8 39.7 21.8 46.8 35.3 7.6 4.2 2.5 18.9 1.0 情報通信機械器具製造業 31 35.5 22.6 41.9 19.4 48.4 35.5 6.5 3.2 6.5 29.0 3.2 輸送用機械器具製造業 441 20.9 42.9 43.8 25.4 41.3 30.4 3.9 2.0 1.1 20.9 1.1 その他 5 0.0 40.0 20.0 0.0 20.0 20.0 0.0 0.0 0.0 0.0 20.0 従業員規模 50人以下 1,335 15.2 31.5 37.9 18.3 40.7 33.9 4.7 3.1 0.7 27.5 0.9 51~100人 1,019 17.7 37.9 41.9 17.5 41.5 34.2 4.6 3.5 1.5 23.5 0.7 101~300人 747 25.2 49.8 50.6 30.0 47.5 35.2 6.0 3.6 1.5 14.5 0.8 301人以上 212 50.0 67.9 64.2 42.0 63.7 48.6 17.5 9.9 1.9 6.6 1.4 - 「企画・開発・設計」「製造」「生産管理」「品質管理」の各工程でデジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている企業に対し、各工程で行っているデジタル化の取り組みはどのようなものか尋ねた(複数回答)。いずれの工程でも「見える化(データの収集・蓄積・分析)」は7割台か8割台に達している。「自動化(データによる制御)」は、特に「製造」(49.5%)で高く、ほぼ5割に達しており、「最適化(自動化を踏まえた工程全体の見直し)」は、「製造」「生産管理」で3社に1社程度、「企画・開発・設計」「品質管理」で4社に1社程度が取り組んでいる(図表2)。
図表2 デジタル化の取り組み(複数回答、工程別)

- デジタル技術の導入・活用のための人材確保の方法を、工程ごとに尋ねた(複数回答)。いずれの工程でも「社内人材の活用・育成」が半数を超え、最も割合が高い。「新たに採用(新卒・中途)」は、「企画・開発・設計」(22.9%)が他の工程よりも10ポイント程度高くなっている。他の確保方法では工程による割合の差は大きくない(図表3)。
図表3 デジタル技術の導入・活用のための人材確保の方法(複数回答、工程別)

政策への貢献
「令和6年度ものづくり基盤技術の振興施策」(2025年版ものづくり白書)に活用。また、人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される。
本文
分割版
研究の区分
情報収集
研究期間
令和6~8年度
執筆担当者
- 荒川 創太
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員
- 岩田 敏英
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐
- 郡司 正人
- 労働政策研究・研修機構 調査部 リサーチフェロー
- 藤本 真
- 労働政策研究・研修機構 人材開発部門 副統括研究員
関連の研究成果
お問合せ先
- 内容について
- 研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム



