調査シリーズNo.265
ものづくり産業の人材育成・処遇とデジタル化に関する調査結果
概要
研究の目的
社会的に急速なデジタル化が進み、ものづくり産業においてもこの変化に応じた人材の確保や育成が重要な課題となっている。また、デジタル化に対応できる能力を含め、近年は企業が従業員の能力・スキル向上を後押しする取り組みが進んでおり、企業の技術向上や従業員のモチベーションアップにつながることが期待される。
そこで、ものづくり産業におけるデジタル化の浸透とそれに対応する人材育成・能力開発の現状や、成果を踏まえた処遇の状況等を把握するため、企業アンケート調査を行った。
研究の方法
全国の日本標準産業分類(平成25年10月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、〔プラスチック製品製造業〕〔鉄鋼業〕〔非鉄金属製造業〕〔金属製品製造業〕〔はん用機械器具製造業〕〔生産用機械器具製造業〕〔業務用機械器具製造業〕〔電子部品・デバイス・電子回路製造業〕〔電気機械器具製造業〕〔情報通信機械器具製造業〕〔輸送用機械器具製造業〕の従業員数30人以上の企業2万社。総務省の経済センサス活動調査(令和3年版)確報集計での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。
調査期間は、2023年11月30日から12月15日。有効回収数は3,366社(有効回収率16.8%)。
主な事実発見
ものづくりの工程・活動において、1つの工程・活動でもデジタル技術を活用している企業の割合は83.7%と8割を超える。同割合は従業員規模が大きくなるほど高くなり、「50人以下」では79.0%と約8割だが、「301人以上」では90.8%と9割台となっている(図表1)。
図表1 ものづくりの工程・活動において、1つの工程・活動でもデジタル技術を活用している企業の割合(従業員規模別)(単位:%)

- デジタル技術を活用している企業が、どのようなデジタル技術を活用しているか(複数回答)をみると、「CAD/CAM」(67.8%)、「生産管理システム」(66.8%)、「クラウド」(48.7%)、「ICT(情報通信技術)」(31.9%)、「プログラミング」(26.2%)、「ロボット」(25.6%)、「IoT(モノのインターネット化)」(19.9%)、「制御技術」(19.4%)などの順で高くなっている。
- デジタル技術を活用したことで出た効果(複数回答)をみると、「作業負担の軽減や作業効率の改善」(58.5%)、「品質の向上」(39.2%)、「在庫管理の効率化」(38.7%)、「生産態勢の安定(設備や装置の安定稼働など)」(35.3%)、「開発・製造等のリードタイムの削減」(31.9%)などの順に高くなっている。従業員規模別にみると、「301人以上」の回答割合は、「作業負担の軽減や作業効率の改善」で7割台(74.5%)、「品質の向上」や「在庫管理の効率化」で5割台(それぞれ56.7%、53.5%)にのぼる(図表2)。
図表2 デジタル技術を活用したことで出た効果(複数回答)(従業員規模別)(単位:%)
デジタル技術を活用したことで出た効果(複数回答)は「作業負担の軽減や作業効率の改善」(58.5%)、「品質の向上」(39.2%)、「在庫管理の効率化」(38.7%)、「生産態勢の安定(設備や装置の安定稼働など)」(35.3%)、「開発・製造等のリードタイムの削減」(31.9%)などの順に高くなっている。従業員規模別にみると、「301人以上」の回答割合は、「作業負担の軽減や作業効率の改善」で7割台(74.5%)、「品質の向上」や「在庫管理の効率化」で5割台(それぞれ56.7%、53.5%)にのぼる。 作業負担の軽減や作業効率の改善 品質の向上 在庫管理の効率化 生産態勢の安定(設備や装置の安定稼働など) 開発・製造等のリードタイムの削減 製造経費の削減 過去と同じような作業がやりやすくなる(仕事の再現率向上) 労働時間の短縮や休暇・休日の増加 不良率の低下 人手不足の解消 業績の改善 新製品開発や新技術開発がしやすくなる ベテラン技術の見える化・データ化による技能継承円滑化 取引先・販売ルートの拡大 その他 特に効果はなかった 無回答 計 2819 58.5 39.2 38.7 35.3 31.9 28.4 24.5 21.1 20.7 20.6 17.2 8.9 8.7 7.1 1.0 3.1 0.7 従業員規模別 50人以下 1064 51.2 34.9 34.6 30.3 26.4 24.1 25.7 19.0 17.3 17.0 16.2 8.5 8.5 8.8 1.0 4.1 1.4 51人~100人 933 58.5 38.3 39.0 33.9 32.2 27.8 24.4 21.0 20.7 19.2 18.4 8.3 8.1 5.8 1.2 2.6 0.1 101人~300人 665 66.3 43.5 41.2 42.0 35.9 31.4 21.2 22.9 22.9 23.9 16.7 9.0 7.8 5.9 0.6 2.3 0.3 301人以上 157 74.5 56.7 53.5 49.7 50.3 48.4 31.2 28.7 35.0 38.9 19.7 15.9 17.2 8.3 0.6 1.9 0.6 - デジタル技術を活用している企業が、活用に向けたものづくり人材の確保に向けて実施していること(複数回答)では、「自社の既存の人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う」が50.8%、「デジタル技術に精通した人材を新卒採用する」が8.0%、「デジタル技術に精通した人材を中途採用する」が26.9%、「出向・派遣等により外部人材を受け入れる」が5.8%などとなっている。これら4項目のいずれかをあげた、デジタル技術活用のための人材確保を図っている企業の割合は7割を超える(74.1%)。従業員規模別にみると、「301人以上」の回答割合は、「デジタル技術に精通した人材を新卒採用する」で2割台(26.8%)、「デジタル技術に精通した人材を中途採用する」で4割台(47.8%)に達している(図表3)。
図表3 デジタル技術の活用に向けたものづくり人材の確保に向けて実施していること(複数回答)(従業員規模別)(単位:%)
デジタル技術を活用している企業が、活用に向けたものづくり人材の確保に向けて実施していること(複数回答)では、「自社の既存の人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う」が50.8%、「デジタル技術に精通した人材を新卒採用する」が8.0%、「デジタル技術に精通した人材を中途採用する」が26.9%、「出向・派遣等により外部人材を受け入れる」が5.8%などとなっている。これら4項目のいずれかをあげた、デジタル技術活用のための人材確保を図っている企業の割合は7割を超える(74.1%)。従業員規模別にみると、「301人以上」の回答割合は、「デジタル技術に精通した人材を新卒採用する」で2割台(26.8%)、「デジタル技術に精通した人材を中途採用する」で4割台(47.8%)に達している。 n 自社の既存の人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う デジタル技術に精通した人材を新卒採用する デジタル技術に精通した人材を中途採用する 出向・派遣等により外部人材を受け入れる デジタル技術の活用は外注するので社内で確保する必要はない その他 デジタル技術活用のための人材確保を図っている割合
(「デジタル技術の活用は外注するので社内で確保する必要はない」
「その他」を除く選択肢のうちいずれかを回答した企業の割合)計 2819 50.8 8.0 26.9 5.8 16.2 7.7 74.1 従業員規模別 50人以下 1064 47.8 3.9 20.6 4.5 19.8 10.2 67.2 51人~100人 933 51.6 6.4 24.8 4.1 17.4 7.3 73.6 101人~300人 665 53.2 12.3 34.9 7.1 11.4 5.3 82.3 301人以上 157 56.1 26.8 47.8 19.1 5.7 4.5 89.8 - すべての回答企業に、今後におけるデジタル技術の活用に対する考え方を尋ねると、「事業方針上の優先順位は高い」が22.2%、「事業方針上の優先順位はやや高い」が46.5%、「事業方針上の優先順位はやや低い」が15.2%、「特に必要性を感じていない」が4.6%、「わからない」が9.6%となっている。事業方針上の優先順位は高いと考える割合(「事業方針上の優先順位は高い」+「事業方針上の優先順位はやや高い」、68.7%)は、事業方針上の優先順位は低いと考える割合(「事業方針上の優先順位はやや低い」+「特に必要性を感じていない」、19.9%)を大幅に上回っている。
政策への貢献
「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(2024年版ものづくり白書)に活用。また、人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される。
本文
分割版
研究の区分
情報収集
研究期間
令和5~6年度
調査・執筆担当者
- 荒川 創太
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員
- 郡司 正人
- 労働政策研究・研修機構 調査部リサーチフェロー
- 田中 瑞穂
- 労働政策研究・研修機構 調査部調査員
- 藤本 真
- 労働政策研究・研修機構 人材開発部門 副統括研究員
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