金融危機がもたらす影響と対応:OECD(1)
OECD諸国、今後2年で失業者が800万人増
—OECD経済予測

経済協力機構(OECD)は11月25日、2008年版経済アウトルック(Economic Outlook)を公表し、OECD諸国の失業者数が2010年までに800万人増加し、4200万人に達するとの予測を示した。この間平均失業率も7.2%に達する見通しだ。OECD諸国平均の実質GDP成長率については、2009年にはマイナス0.4%に落ち込むという厳しい予測を示したが、2010年には持ち直し、1.5%に回復するとみている。記者会見に臨んだクラウス・シュミット・ヘベルOECD主席エコノミストは、「予測には不確定要素が多く、金融危機からの回復に状況は左右される」と指摘している。

英米独仏の失業率予測、軒並み上昇

アメリカの失業率は、とくに製造業における雇用減少を反映して、2008年から上昇に転じ、2009年に7.3%、その後2010年には7.5%に達する予測だ。他方、これまで順調な回復基調にあったユーロ圏の雇用情勢も悪化する見通しで、2009年に8.6%、2010年に9%に跳ね上がる。このうちとりわけ失業率の著しい上昇が見込まれるのはイギリスで、2008年の5.5%から、2009年に6.8%、その後2010年に8.2%に達する。もっとも、分析では、EU域内外国人労働者流入の減少が見込まれることから、雇用情勢の悪化はある程度軽減される可能性があるとしている。ドイツは、2008年に7.4%と16年ぶりの低水準を記録したが、有期・労働者の雇い止めの増加を主要因として、2009年には8.1%と再び上昇に転じ、2010年には8.6%に達する見通しだ。フランスの失業率予測も同様に上昇を示しており、2010年までに8.7%に上昇する。これまでも、失業者の増加が若年層や派遣労働者に集中する傾向があったが、その傾向が当面高まると分析している。なお、日本の失業率も上昇する予測だが、4.5%前後にとどまる見通しだ。

表1 OECD諸国の実質GDP成長率,失業率

表1

参考資料:OECD Economic Outlook 84 database.

参考資料

  1. OECD(2008)Economic Outlook.

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