2024年の労組組織率9.9%、横ばいが続く
 ―労働統計局集計

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境統計

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  • 国別労働トピック:2025年2月

米労働統計局(BLS)が1月28日に発表した2024年の労働組合の労働者組織率は9.9%で、前年の10.0%とほぼ同水準だった。組織率が10%を割り込んだのは調査を比較できる1983年以降初めて。労働組合員数は約1,425万人と前年から17万人ほど減少した。一方、全国労働関係委員会(NLRB)によると、労働組合結成に向けた従業員投票の申請や不当労働行為の救済申立件数は増加している。民間調査会社の調査による労働組合への支持率は7割にのぼっており、労働組合運動自体は活性化している傾向が見て取れる。

初めて10%を割り込む

米国の労働組合組織率は1983年に20.1%だったが、2024年は9.9%と過去40年間で半減し、ついに10%を下回った(図表1(注1)。労働組合員数は1,425万5,000人と前年より16万9,000人減少。2010年以降、1,400万人台で推移している。

図表1:米国の労働組合組織率と労働組合員数(単位=左軸:%、右軸:千人)
画像:図表1

出所:連邦労働省労働統計局ウェブサイト

民間部門の組織率は5.9%で前年の6.0%とほぼ変わっていない。公共部門は32.2%で前年から0.3ポイント低下した。フルタイム労働者の組織率は10.7%と前年比0.2ポイント低下。パートタイム労働者は5.7%で、前年に比べ0.5ポイント上昇している。

業種別に見ると、民間部門の製造業で10万9,000人減少、同教育および医療サービス部門で7万人増加しているのが目立つ。

フルタイム労働者の通常の週給中央値は、組合員が1,337ドルだったのに対し、非組合員は1,138ドルで、組合員の85.1%の水準となっている。

組織率を州別に見ると、ハワイ州(26.5%)とニューヨーク州(20.6%)で20%を超すが、ノースカロライナ州(2.4%)、サウスダコタ州(2.7%)、サウスカロライナ州(2.8%)では2%台にとどまる。組合員数が最も多いのはカリフォルニア州(238万1,000人、組織率14.5%)で、ニューヨーク州(170万6,000人)が続く。全米組合員数1,425万人の約29%を両州が占める形だ。

米国では「排他的交渉代表制度」により、各職場で認証された労働組合が、組合員であるかどうかを問わず、全ての労働者を代表して使用者と交渉する。合意した労働協約はその職場の全労働者に適用される。労働組合員に加え、こうした労働組合が代表する非組合員を含む「組織率」は11.1%(前年比0.1ポイント低下)、対象者数は1,602万3,000人(同17万人減少)となっている。

労働組合の活動は活性化

一方、全国労働関係委員会(NLRB)が発表した集計結果(注2)によると、2024会計年度(2023年10月~2024年9月)における労働組合結成のための従業員投票申請件数(注3)は3,287件で、前年度の2,594件から693件増加した(図表2)。また、同年度におけるNLRBへの不当労働行為の救済申立件数は2万1,300件で、前年度から1,432件増え、8年ぶりに2万件を上回っている。いずれの集計結果も労働組合運動の活性化をうかがわせる。

図表2:NLRBへの従業員投票申請件数と不当労働行為救済申立件数の推移
画像:図表2

出所:全国労働関係委員会(NLRB)ウェブサイト

労組支持率は2010年以降上昇傾向

米調査会社のギャラップ社が2024年9月9日に発表した世論調査の結果によると(注4)、労働組合を支持する(approve)人の割合は70%で、前年の67%から3ポイントの上昇に転じた(図表3)。

図表3:労働組合支持率の推移(2001~24年)
画像:図表3

出所:ギャラップ社ウェブサイト

支持率は1950年代に75%を記録していたが、60年代半ばから低下ないし横ばいの傾向になった。2009年に48%と初めて5割以下に落ち込んだが、翌2010年以降は上昇傾向をたどっている。

なお2024年の労組支持率を支持党派別に見ると、民主党支持者は94%、共和党支持者は49%と両者の開きは大きい。

参考資料

  • ギャラップ社、経済政策研究所、全国労働関係委員会、ブルームバーグ通信、連邦労働省(労働統計局)、各ウェブサイト

参考レート

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