ロックダウンの再導入
 ―テレワークの義務づけと部分的失業申請者数の急拡大

新型コロナウイルス感染拡大の第2波を受け、2回目のロックダウンが10月30日から12月1日の予定で導入された。外出制限の具体的な内容は前回とほぼ同じであるが、高校までの学校は継続され、子の世話をするために仕事を休む必要はなくなった。経済活動と防疫措置の両立のためにテレワークが必須と考えられており、可能な仕事についてはテレワークを実施するように政府は企業に強く求めている。食品小売業は営業を継続できるが、大型店舗は非食品売場の閉鎖が決定したこともあり、部分的失業制度の利用が急速に拡大している。11月12日にはカステックス首相によって12月1日以降もロックダウンを延長することが発表され、12月15日に全面的外出禁止措置が一部解除され、夜間(20時~6時)外出禁止となった。だが、1月に入って感染が目立つ東北地方を中心とする25県を対象として外出禁止開始時間を18時に前倒しする措置をとった。

保育所・託児所・小中高の学校、建設や農業などは継続

10月30日から実施されているロックダウンは、原則として外出を禁止するものであり、例外的に許可される外出は、自宅と職場の移動や通学、職業訓練センターまでの往復、延期不可の仕事のための外出、営業を許可されている商店での生活必需品の購入、遠隔診察が不可能で、急を要する診察および薬の購入、1日1時間以内、自宅から1キロ以内で行う運動や散歩、司法・行政機関への出頭や手続き、子供の学校への送り迎えなどである(注1)。前回のロックダウン時と異なり、保育所・託児所や小・中、高校での授業、職業訓練は継続される。職場に関する規制として、テレワークが可能な場合、それが義務付けられることになった。前回同様、生活必需品を扱う小売業が事業継続できるほか、建設・土木業や製造業(工場)、農業なども継続することができる。

テレワークの実施を強く要請

ボルヌ労働相は、11月6日に大企業のオフィスが集中するパリ近くのラ・デファンス地区を訪れた際、テレワークは経済活動の継続と感染拡大の防止を両立するために不可欠であると改めて強調した。ロックダウン期間中、テレワークが可能な仕事は、従業員が望んでいないとしても実施しなくてはならないとして、テレワークの必要性を理解していない企業は指導・監督の対象になり、それでもなお、企業の認識が変わらない場合には制裁を科すことも想定していると述べた(注2)

検査実施における企業の役割強化

企業における従業員の健康と安全を確保するために、感染有無の検査実施における企業の役割を高める方針を打ち出した(注3)。これまで、従業員の検温や検査を企業が主導して行うことはできなかったが(注4)、これ以降、医療における守秘義務の厳守を条件として、雇用主は従業員に対する検査を本人が受検する意思がある場合に実施することが可能となった。ただし、企業で検査を実施する場合、検査に必要な費用は企業が負担し、従業員が医療検査施設に出向く必要がないように検査キットを用意する必要がある。また、検査結果は、従業員本人にのみ通知され、医療守秘義務に則って雇用主さえ知ることはできない。

部分的失業制度の申請件数急増

ロックダウンの実施に伴って部分的失業制度への申請件数も急増している。10月19日の週までの1日当たりの申請件数は3000件を下回る程度で推移していたが、ロックダウンが再導入された10月26日の週には1万件を超え、11月2日の週には1万9000件を超えた(注5)

食品小売業は今回のロックダウンでも営業が認められているが、生活必需品以外の売場の閉鎖が決定したことにより、非食品部門の売場が大きい大型店舗を中心に、部分的失業適用の動きが広がっている。大手のカルフールでは、総従業員9万5000人の8割強に当たる7万8000人が適用対象になったほか、カジノとその子会社のモノプリ、オーシャンが申請を開始した(注6)

政府は11月分の費用だけでも70億ユーロと試算しており(注7)、11月4日に閣議決定した第4次補正予算では、国の負担分の増額として、32億ユーロ追加計上している(注8)

(ウェブサイト最終閲覧:2021年1月22日)

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