労働組合が「良い」と考える人は61%
―ギャラップ調査

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2018年3月

8月30日にギャラップ社は、労働組合が「良い(approve)」と考える人が61%だったと発表した。この数字は2007年のリーマンショックに始まる経済危機以降でもっとも高いものとなった。

調査は、8月5日から12日の日程で、無作為抽出した全米の18歳以上の人に対して電話で行われた。

リーマンショック以降、労組支持が回復

ギャラップ社は1935年に労働組合が合法化された翌年の1936年から調査を行っている。最初に調査を実施した1936年に72%を記録した労働組合への支持は、1953年と1957年に75%と最高を記録したものの、1970年代になるとほぼ60%代になった。リーマンブラザーズ証券の破綻に始まる経済危機後の2009年に、調査開始から初めて47%と50%を割ったが、オバマ大統領が当選を機に再び回復に転じ、今回の調査で2003年とほぼ同水準の61%となった。

調査で労働組合員と回答した人と家族に労働組合員がいるとした人の割合はそれぞれ10%と16%だった。この数字は、実際の組織率を若干上回っている。

共和党支持者の42%が労組を「良い」と考える

労働組合を好ましく考える人の割合は、共和党支持者のなかにも拡大している。共和党は、労働組合が支援する政党である民主党と対峙している。それにもかかわらず、共和党支持者のなかで、労働組合を「良い」と考える人は少なくない。1999年から2008年まではおおむね50%台を維持していた。その数字は2009年から下降し、2011年には26%を記録していた。その後は、ゆるやかに上昇し、2017年には42%に回復している。

これに関し、ギャラップ社は、2016年の大統領選挙で共和党候補だったトランプ氏が行った製造業の雇用を回復させるとする主張が労働組合指導者の発言と重なったことが、共和党支持者の労働組合に対する印象を変えたことが背景にあるのだろうと指摘している。

一方で、民主党支持者のなかで、労働組合を「良い」と考える人は、1999年から2008年で約80%であり、共和党も民主党も支持していないとする無党派層は、2017年で61%だった。

多くの人が労働組合の社会的影響力が強まることを望んでいる

労働組合の社会的影響力が強まるべきだとする人の割合は、2017年に39%だった。この割合は、1999年からの18年でもっとも高い。1999年の30%から2005年の35%へと上昇したのちに、2009年には25%まで落ち込んでいた。

一方で、労働組合の社会的影響力は低下すべきだとする人の数は、同様に19年間でもっとも低く、28%に留まった。2009年には42%まで上昇したのち、下降に転じ、直近の2016年は34%だった。

労働組合の社会的影響力が強まるべきだとする人の割合が増えるなか、労働組合が将来的に弱体化していくとみる人の割合は2017年に46%であり、1999年からの18年間でみてもあまり変化がない。

労働組合がふたたび強くなるとみる人の割合は、2011年に21%と1999年からの18年間で最低を記録したものの、2017年には27%と回復傾向にある。

これらの結果に対して、ギャラップ社は、1991年に労働組合を「良い」と考える共和党支持者が51%であり、2017年の42%と比較して、まだ共和党支持者のなかで労働組合を「良い」と考える人の割合が高まることへの伸びしろがあるものの、近年の民主党、共和党間の政治的対立と分断傾向が継続すれば、共和党支持者のなかで組合を「良い」と考える人の割合は限界を迎えており、1930年代から1960年代のように、全国民から労働組合が圧倒的に支持されていた時代は戻らないだろうと指摘している。

(調査部海外情報担当 山崎 憲)

参考

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