IGメタル、22年ぶりに組合員増加

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2012年6月

ドイツ労働総同盟(DGB)の発表によると、2011年の同組織の組合員数は対前年比で0.6%減にとどまり、過去数年に比べて減少率が小さかった。 最大産別の金属産業労組(IGメタル)が22年ぶりに僅かであるが増加に転じたのが大きな変化だ。

ドイツ労働総同盟(DGB)の組合員数は、長期的に減少し続けているが、2011年は0.6%減で、2009年の1.7%減、2010年の1.1%減と比べると、下げ幅はかなり小さかった。

その中で、金属産業労組(IGメタル)の組合員数が0.3%増加したほか、教育学術労組(GEW)や警察官労組(GdP)も、若い労働者を含む新規組合員の獲得に成功し、数を増やした。このほかIGメタルに次ぐ組合員数を抱える統一サービス産業労組(ベルディ)は、前年の2.0%減から、2011年は1.1%減と下げ幅を半減させた。

表1.DGB加盟労働組合情報(2011)
  組合員数 組合員数の変化
(2010-2011、%)
ナショナルセンター
DGB(ドイツ労働総同盟)
6,193,252 -0.6






金属産業労組(IG Metall) 2,245,760 +0.3
統一サービス産業労組(Ver.di) 2,070,990 -1.1
鉱業・化学・エネルギー労組(IG BCE) 672,195 -0.5
建設・農業・環境産業労組(IG BAU) 305,775 -2.8
教育学術労組(GEW) 263,129 +1.1
鉄道交通労組(EVG) 220,704 -5.1
食品・飲料労組(NGG) 205,637 0.0
警察官労組(GdP) 171,709 +0.7

出所: 欧州労使関係研究所(EIRO)2012年

IGメタルの組合員数が増加に転じた理由について、経済社会科学研究所(WSI)のドリッブーシュ研究員は、「金属・鉄鋼産業の好調な成長と雇用の伸び、組織化の成果が反映されたため」と見ている。

IGメタルは近年、従業員代表委員会がない企業に新たに委員会を設立する取り組みや、正規と非正規の均等待遇を求める取り組み、再生可能エネルギー分野など新産業分野の組織化に取り組んでおり、このような活動が功を奏したのではないかと関係者は見ている。

そのほか統一サービス産業労組(ベルディ)は、かなりの規模の組合員の退職や雇用減少があったにもかかわらず、下げ幅を狭めた。主な要因に、構成員の中で大きな存在を占めるヘルスケア分野の組織化を積極的に進めたことが挙げられる。ただ、そのベルディも民間のヘルスケアサービスが提供されている新規事業所の組織化には苦戦を強いられている。

ドリッブーシュ研究員は、「組合員数の増減は経済状況によってある程度左右されるが、最も重要なのは労働組合からのアウトリーチ、組織化である」として、「新規に誕生する民間産業や事業所にいかに接触し、組織化を進めていくかが、今後も労働組合にとって引き続き重要な課題となるだろう」と結論付けている。

参考資料

  1. EIRO online(19.03. 2012), Deutscher Gewerkschaftsbund website,

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