公務労働者、2年協定で6.3%に段階的引き上げ
―ベルディ、賃上げ交渉に合意

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2012年4月

統一サービス産業労働組合(ベルディ)は3月31日、連邦政府・地方自治体(州を除く)の代表との間で、公務労働者の賃上げ交渉に合意した。労働協約の期間を今年3月からの2年間とし、3月に遡及してまず3.5%引きあげる。続いて、来年1月に1.4%、8月にはさらに1.4%の引き上げを図る。こうした段階的引き上げによって、現在の水準から見れば、来年8月には6.3%の賃上げが実現する。

年初から賃上げに強気の姿勢

ベルディのブジルスケ委員長は年初から賃上げ獲得に強い意欲を示しており、「公共部門の労働協約による過去10年の賃上げは、金属や化学などの工業部門と比較すると3割以上少ない。この格差は適正に解消する必要があり、組合の要求を押し通すためには強硬な手段も辞さない」と述べていた。その発言どおり交渉中は、公共交通機関や幼稚園、病院、ゴミ収集など各地の公共サービス部門で警告スト(Warnstreik)が行われた。これ以上交渉が進展しない場合は、本格的なストライキも検討されていたが、今回の労使合意によって、最終的にそれは回避されることになった。

連邦政府・地方自治体政府の代表として交渉の先頭に立っていたペーター・フリードリッヒ内務相は、徹夜で続けられて合意に達した今回の最終交渉ラウンドについて「非常に厳しく、マラソンというよりはトライアスロンのような感じだった」と述べ、「使用者が合意できる限界ぎりぎりのところまでいった」と評した。

一方のブジルスケ委員長は「この合意を受け入れるのは非常に難しかったが、少なくとも当初の要求額には近づき、年々拡大しつつあった民間労働者との賃上げ格差を埋めることができた」と述べ、成果を強調した。

3段階で6.3%の賃上げ

ドイツの公務員には2種類あり、労使交渉により給与改定が行われていない「官吏(Beamte)」と、労使交渉により給与改定が行われている「公務労働者(Tarifbeschaftigte)」がいる。今回ベルディの交渉によって賃金が引き上げられるのは、後者の方である。

今回の合意によって、該当する公務労働者の賃金は、3月1日から遡及して3.5%引き上げられ、2013年1月にさらに1.4%、その後同年8月に1.4%の合計6.3%引き上げられる。

多くの産業が協約期限を迎える今春の労使交渉は、約900万人の労働者が影響を受ける見込みだが、今回の合意がモデルケースとして他の労使交渉にも影響を与えるのではないかと見られている。

参考資料

  • ver.di Pressemitteilungen(31.3、30.3.2012)、Deutsche Welle(31.03.2012), Associated Press (Mar 31, 2012)

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