コミュニティーカレッジと地元企業を通じた教育訓練
―4年間で20億ドル計上

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2011年3月

1月21日、米国労働省と教育省は外国との貿易により職を失った労働者がこれまでのキャリアを変更するための職業訓練を行うトレード・アジャストメント・コミュニティーカレッジ・トレーニングプログラムの実施を公表した。2011年度に5億ドルを連邦政府が助成し、4年間で合計20億ドルを支出する。

リーマンショック後の悪化した雇用情勢に対応するために実施したグリーンジョブ向けの職業訓練では、訓練が終了したものの就職先がないとの批判があった。そのため、このプログラムでは訓練の成果を就職に結びつけることを意識している。

期待される訓練の実効性

助成金に申請できるのはコミュニティーカレッジ単体か複数のコミュニティーカレッジもしくは訓練施設の連合である。また、申請にはいくつかの条件が付けられている。訓練を就職に結びつけるため、使用者を申請者に加えることと、複数で申請する場合に地域的なまとまりが求められること、オンライン・ラーニングに対応できることなどがその条件である。使用者を申請者に加えることで使用者のニーズに対応することが期待されるほか、地域的まとまりを維持することで地域別、産業別の需要を意識することが期待されている。オンライン・ラーニングの導入は、新しいスキルを獲得する上で困難になると思われる家庭生活と仕事の両立に配慮することを意識している。

競争的助成金

助成金は競争的に分配される。申請者は訓練コースの概要、講師の採用と訓練、施設の整備・拡充、使用者との連携などの計画を策定する必要がある。申請が受理されれば、単独のコミュニティーカレッジは年間250万ドル、複数組織の連合体は年間250から2000万ドル、最大で3年間の助成金を受けることができる。

労働省によれば、高校卒業資格試験(GED・General Equivalency Deploma)のようなものではなく、より実践的な建設業における見習工制度を意識しているとのことである。たとえば、ヘルスケア部門における労働需要を入り口として、看護師、放射線技師、健康情報技術分野といったような多様なラダーを構築することなどが目標とされる。

参考

  • ETA Announces Grants to Fund Expansion of Taa Job Training at Community Colleges, Daily Labor Report, Jan.20, 2011
  • ETA Focus on Expanding Capacity of Community College, Crafting WIA Update, Daily Labor Report, Jan.21, 2011

参考レート

  • 1米ドル(USD)=81.95 円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2011年3月1日現在

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