企業のファミフレ施策、経済危機前とほぼ同水準
―連邦家族省発表

ドイツ連邦家族省(注1)は4月21日、「2010ファミリー・フレンドリー企業調査(注2)」の結果を発表した。それによると、2008年の深刻な経済危機にもかかわらず、09年の企業のファミリー・フレンドリー施策は危機前の06年と変わらない高水準を維持していることがわかった。

1300社超にアンケート

調査は、1300社を超える企業の経営者・人事責任者が対象。03年、06年に続き、今回は3回目で、ケルン経済研究所(IW)が09年秋に実施した。「労働時間の柔軟化・テレワーク」「育児休業・育児休業中の支援」「看護・介護」「ファミリーサービス」の4つに分けて、各企業の実施状況をアンケートで聞いている。

企業のファミフレ、年々定着

調査結果によると、経済危機の影響によって、施策の廃止・導入延期を余議なくされた企業はわずか7%で、ほとんどの企業が水準を維持するか、もしくは新たな施策を追加していた。さらに、4つの分野に該当する施策を全く実施していない企業の割合は03年=19.6%、06年=4.8%で、今回調査では1%未満に減り、企業の施策が年を経るごとに定着していることが判明した。

4分野のうち、「労働時間の柔軟化・テレワーク」の分野では、95.8%の企業が少なくとも1つの施策を従業員に提供している。施策の中でも特に、パートタイム制度(正社員の短時間労働)、労働時間の個別合意、および柔軟な労働時間の導入(1日単位か週単位のフレックス制度)が普及している。

2つめの「育児休業・育児休業中の支援」の分野では、10社に9社弱が育児休業の前・中・後に支援を実施している。大多数の企業が、育児休業中の従業員に対する一時勤務やパート勤務を認め、企業と従業員の結びつきを維持する制度を設けているのが特徴だ。

3つめの「看護・介護」の分野では、3分の2弱が少なくとも1つの施策を提供している。子どもが病気になった場合、従業員に対して法定基準を上回る就労免除するのを、大半の企業は当然視している。介護を支援する企業も増加しており、35%弱の企業が、法定基準を上回る期間の休暇取得を可能にし、ほぼ11社に1社は介護サービスを利用するための経済的支援などを実施している。

4つめの「ファミリーサービス」の分野では、例えば、保育手段の斡旋やアイロンがけ、買物サービスなどを支援する企業はごくわずかだった。

多くがファミフレの重要性を認識

ファミリー・フレンドリー施策について、ほぼ10社に8社(79.8%)が、企業の成功にとって「重要」「どちらかというと重要」と評価している。この割合は初回の03年調査の46.5%から大幅に増加し、06年調査の71.7%からは微増している。

今後5年間の展望では、5社に1社(18.6%)が、施策の重要性は増すと答え、低下するとしたのは8.7%の企業のみだった。残りの4分の3弱(72.7%)が重要性は変わらずとの見解だった。

施策を導入した動機は93%の企業が「有能な従業員の維持・獲得」のためと答えている。ほかに「仕事満足度の向上」(93%)、「生産性の向上」(80%)、そして「育児休業から復帰する従業員の早期統合」(77%)が高率だった。ほぼ10社のうち6社は、ファミリー・フレンドリー施策を人材開発の主要な構成要素としている。

家族大臣、結果を評価

シュレーダー家族大臣(Kristina Schröder)は、記者会見で「社会の中で、家庭責任を果たす時間と、意義ある仕事をする時間が相反するものであってはならない。仕事と家庭の調和が企業の長期的成功にとっていかに重要であるかを経営者はすでに知っている。そのため、企業は経済的に厳しい現状でも、家庭と仕事を両立できるファミリー・フレンドリーな職場を目指している。そのことが今回の調査で明解に示された」と評価した。

参考資料

  • 連邦家族省ホームページ、Unternehmensmonitor Familienfreundlichkeit 2010、海外委託調査員報告

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