年金支給開始年齢、62歳に引き上げ
―労組など反発し大規模スト

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  • 国別労働トピック:2010年6月

フランスのヴォルト労働相は6月16日、公的年金の受給開始年齢を現行の60歳から62歳に引き上げることを柱とする公的年金制度改革案を発表した。政府案は財政赤字を縮小し他のEU加盟国とも歩調を合わせようとするものであるが、社会党や共産党など野党および労働組合はこれに強く反発、大規模ストライキを行うなど徹底して抵抗する構えを見せている。

政府の改革案によると、年金支給開始年齢が2018年までに段階的に引き上げられる。経済危機に伴う税収の落ち込みなどからフランスの財政赤字は国内総生産(GDP)比7.5%と拡大していた。ユーロ導入国の財政赤字対GDP比基準は3%未満。同相によると、この改革で2018年までに約190億ユーロの節減効果があるという。年金支給開始年齢に関しては62歳とするか63歳とするかで調整が続いていたが、影響を最小限にとどめたいとするサルコジ大統領の判断から最終的に62歳に落ち着いた模様だ。

政府案に対しては野党及び労働組合が一斉に反発、5月27日にはCGT(仏労働総同盟),CFDT(仏民主労働同盟)など主要労働組合の呼びかけで、フランス全土において、年金制度の改悪に反対するスト及びデモ行進が実施された。しかしながら、デモ参加者は全国で40万人(警察発表)から100万人(労働組合発表)と、1995年や2003年の年金改革時と比べてかなり少なかったことから、ストライキの影響は限定的との見方が強い。そのため政府は公的年金制度の改革を断行する意向であるが、労働組合は6月24日にも新たなストライキを設定しており抵抗する構え。そのため、公的年金制度の改革には、紆余曲折が予想される。

資料出所

  • Les Echos.fr紙(5月27日、28日、6月6日付)他

参考レート

  • 1ユーロ(EUR)=113.01円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年6月4日現在)

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