ドイツの労働市場、明らかな回復基調に
―18年ぶり失業率7.5%

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2010年10月

連邦雇用エージェンシーは9月30日、最新の労働統計を発表した。それによると、9月の失業率は7.5%(注1)に改善した。失業率が7.6%を下回るのは1992年以来18年ぶり。失業者数は前月から約4万人減少し、303.1万人だった。

ドイツの失業率は、2008年9月のリーマンショック以降急速に悪化し、一時は8.3%まで上昇した。しかしその後、時短・フレックスなど柔軟な労働時間活用や操業短縮手当の拡張政策が功を奏し、昨年6月から再び緩やかな改善が始まり、危機前の水準にまで回復した(図1)。

図1.ドイツの失業率(季節調整値)の推移(2007年1月~2010年9月)

図1

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2007 9.7 9.5 9.3 9.2 9.1 9.0 8.9 8.9 8.7 8.7 8.6 8.4
2008 8.2 8.0 7.9 7.9 7.9 7.7 7.7 7.7 7.6 7.6 7.6 7.7
2009 7.8 7.9 8.1 8.3 8.2 8.3 8.3 8.3 8.2 8.2 8.2 8.1
2010 8.1 8.1 8.0 7.8 7.7 7.7 7.6 7.6 7.5      

資料出所:連邦雇用エージェンシー

ドイツのこの状況は、経済危機以降、EU諸国の平均失業率が10%に高止まりする中で、一段と明るく映る(図2)。

図2.ドイツ、欧州連合、ユーロ圏の失業率推移比較(2005-2010)

図2

  • 資料出所:連邦雇用エージェンシー「Der Arbeits- und Ausbildungsmarktin Deutschland」(2010年9月)
  • (注): EU27…欧州連合加盟国(27カ国)
  • EZ16…欧州連合に加盟し、ユーロを導入している諸国で形成される経済圏(同16カ国)

ドイツではユーロ安による輸出増が牽引する形で、景気回復も順調に進んでいる。今年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比2.2%増と、1990年の東西統一以来最大の伸びを記録し、2010年の実質経済成長率は約3%になる見通しだ。

連邦雇用エージェンシーのワイゼ長官(Frank-J.Weise)は記者会見で「ドイツの好調な経済が労働市場に良い影響を与えている」と述べて、10月か11月には失業者数が300万人を割り込むとの予測を示した。

参考資料

  • 連邦雇用エージェンシーHP、連邦労働社会省HP、Deutsche Welle(9月30日付、10月2日付)、Thomson Reuters(9月30日付)、The Wall Street Journal(9月30日付)

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