4月失業率7%台に、2カ月で10万人以上減
ドイツ連邦雇用エージェンシーが発表した4月の失業率は、前月より0.2ポイント低下し、7.8%だった(注1)。失業者数は、対前月比6万8000人減の328万5000人で、市場予測(注2)の対前月比1万人減を大幅に超える減少となった。3月の対前月比4万2000人減と合わせると、この2か月で、失業者数は10万人以上減少したことになる(表1)。
2009年11月 | 2009年12月 | 2010年1月 | 2010年2月 | 2010年3月 | 2010年4月 | |
失業率 (%) |
8.2 | 8.1 | 8.1 | 8.1 | 8.0 | 7.8 |
失業者数 (千人) |
3430 | 3413 | 3405 | 3395 | 3353 | 3285 |
対前月比増減 (千人) |
▲ 4 | ▲ 17 | ▲ 8 | ▲ 10 | ▲ 42 | ▲ 68 |
出所:連邦雇用エージェンシー(季節調整値)
連邦雇用エージェンシーのワイゼ長官(Frank-J.Weise)は、今回の発表について「労働市場は予想以上に改善しており、好ましい傾向である」と評した。
また、フォン・デア・ライエン労働社会大臣(Ursula von der Leyen)は、記者会見で「世界経済が不安定な中、ドイツの労働市場はこれまで安定的に推移してきた。4月の統計は再度それを証明した。失業率は、通常の4月平均と比較しても低下しており、我々は金融危機によって引き起こされた景気後退を切り抜けつつある。しかし、次の2点については引き続き注意する必要がある。一つは、短時間労働や操業短縮手当制度がなければ4月の失業率がさらに悪化していた点である。金融危機で受注がほとんど無い間、企業は、労働時間口座の貯蓄を減らして短時間労働に移行することで従業員の雇用確保に努めてきた。この結果、経済が回復しても当分の間、求人数は低いまま推移するだろう。二つめは、ドイツの雇用情勢が回復する中で、世界経済は未だ回復しておらず、多くの未知数を抱えている点である。そのためドイツ国内の経営者は、今後の正確な予想や事業計画の策定がしづらい状況にある。多くの未知数とは、特定国の財政危機、各国金融機関の異なる対応、輸出先国の支払い能力などである。しかし、このような問題を抱えながらも、ドイツ製品に対するアジア諸国の需要は再び高まっており、それは今後のドイツ労働市場にとって明るい材料である」と語った。
注
- 本稿における「失業率」と「失業者数」は、連邦雇用エージェンシーが4月29日に発表した季節調整値を用いている。
- ブルームバーグがまとめたエコノミスト30人の「予測中央値」。
参考資料
- 連邦雇用エージェンシー、連邦労働社会省、Reuters(10年4月29日)、Bloomberg (10年4月29日)、ZDF(10年4月29日)
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