労働基準法による外国人家政婦と介護労働者の保護

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  • 国別労働トピック:2007年1月

台湾では現行制度のもとでの外国人家政婦と介護労働者の労働条件が大きな問題となっていることから、CLAでは、家政婦や介護労働者などの家事サービスをおこなう外国人労働者を労働基準法(LSL)の保護対象とすべきかを議論する会議を開催した。

この会議において、国際労工協会台湾支部(IWA)などの人権擁護団体や労働者権利擁護団体の代表は、外国人家政婦や介護労働者をLSLの対象とするよう、強く要求した。

IWAの代表団は、外国人家政婦や介護労働者の大半は時間外労働をおこなっている場合が多く、また一部に虐待されている者もいると主張し、家事サービスをおこなう外国人労働者にも、他の職業の労働者と同様の配慮と法的保護を受ける資格があるとしている。

IWAでは、家事労働をおこなう家政婦や介護労働者が良好なサービスを提供するためには、十分な休息や、悪質な台湾人雇用者から保護するための健全な福祉制度が必要だと指摘した。

IWAは、現行の労働基準法が家事労働をおこなう家政婦や介護労働者の基準となることが期待されている点を強調しつつも、関連規則に関しては、家事労働者と雇用者の双方の利益のために、さらに交渉すべき点が残っていると認めた。

また、労働者権利問題の活動家は、台湾人と外国人の両方の家事サービス労働者を対象とする家事サービス法の制定も要求している。

しかし、障害者福祉組織連盟(LWOD)はCLAに対して、台湾の労働基準法で外国人労働者を保護するという提案を受け入れないよう要請している。

LWODでは、この提案は障害者、特に脊髄に損傷があるために24時間介護が必要となる可能性があるにも関わらず、政府からの補助対象とならないために、家庭での介護費用を全額自己負担しなければならない者にとって不公平だと主張している。

LWODがまとめた統計によれば、台湾に2万3000人いる脊髄損傷者のうち、3分の1が外国人介護労働者を雇用している。LWODでは、この政策が実施されれば、労働時間の定義や労働災害の責任、年金基金の負担などの問題をめぐって、雇用者との論争が増加し、恵まれない家庭の「負担」となると主張している。LWODによれば、こうした家庭では安価な外国人労働者を雇用する以外に「選択の余地はない」。

こうした状況を受けて、CLAでは暫定的な結論として、外国人家政婦や介護労働者をLSLの保護対象とするという提案を実行に移すことは、現実的ではないとしている。しかし、外国人家政婦や介護労働者の法的権利を尊重し、保護する必要があることから、CLAでは、雇用者と被用者の双方の利益を守るための一連の保護策を打ち出す必要がある。またCLAでは、台湾人、外国人の両方の家事サービス労働者に妥当な労働条件と労働基準を保証する一方で、雇用者の経済的負担が極端に増加することがないような、現実的な規制の策定に努めるとしている。

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