台湾労働者の現状報告
―雇用市場および職業生活に関する最近の調査結果

カテゴリー:非正規雇用労働条件・就業環境勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2007年1月

派遣雇用の機会が増加

台湾の人材紹介企業である104人力銀行が11月に伝えたところによれば、台湾では派遣労働者雇用にメリットがあると考える企業や労働者が増加していることから、今年は人材派遣に関する求人数が60%以上増加した。

104人力銀行によれば、派遣労働者雇用、つまり契約にもとづく臨時雇用、一時雇用は、台湾の企業や産業の間で、経営者が雇用者数を削減し経費を引き下げる手段として普及が進んでいる。

104人力銀行によれば、多くの企業では派遣雇用契約にもとづく従業員を活用することで、年金プログラムや一時解雇手当、業務中のケガ・死亡の補償、健康保険料によって生じるコストを削減しようとしている。

派遣労働の方が雇用リスクが低いと考える台湾人労働者が増加していることから、派遣業務での就職を希望する者の数も今年は150%増加していると104人力銀行では伝えている。

104人力銀行によれば、10月31日現在の派遣雇用機会数は対前年比61%増となっており、このうち金融または会計などの事務職・ホワイトカラー職では165%増、次いでIT部門の雇用者が154%増となっている。

実際、派遣雇用契約にもとづく臨時労働者の活用は、昨年の政府による労働者退職政策の変更を受けて、台湾企業が採用した戦略の一つであった。この政策変更は、台湾の給与所得者を保護するために策定されたものであった。

104人力銀行によれば、他に台湾企業が採用した戦略としては、賃金水準の切り下げや、請負ベースでの雇用のアウトソーシングがある。

事務職労働者の大部分が過去3年間無昇給

11月に公表された調査結果によれば、事務労働者の70%近くは過去3年間昇給が無く、24%は追加収入を得るために副職を持たざるを得ない状況となっている。

この調査は104人力銀行がインターネットを通じておこなったもので、これによれば、事務労働者の55.5%は過去3年間昇給が無く、13.3%は賃金がカットされている。

調査レポートによれば、1950年~1960年生まれの回答者のうち23%以上が、賃金削減のため以前より経済的負担が重くなったと回答している。

行政院主計処によれば、賃金増加率は3年連続でマイナスとなっている。

今年8月にはようやくプラスに転じたものの、増加率はわずか0.11%、額にして62NTドル(約1.9米ドル)に過ぎない。

104人力銀行の調査によれば、事務労働者の24.4%が副職により追加収入を得ており、現在1カ所だけで仕事をしている回答者のうち80%超が副職を持つことを計画している。104人力銀行では、若いうちにもっとお金を稼ぎたいと答えた回答者が63.6%に上ったとしている。

さらに104人力銀行によれば、この調査からは、高齢化社会の危機を回避するためには、退職後に備えて貯蓄を増やす必要があると考えている人が増えていることが判明した。

34.4%の回答者は、副職は追加収入を獲得するためのものだけではなく、専門知識や技術を活用する機会でもあると答えている。27.5%は副職が仕事の経験を積むうえで有益であると回答しており、また28.8%は副職を他の職業に就くためのステップや、将来自分で事業を始めるための準備であると考えている。

事務労働者の42.5%が、副職によって15%~30%の昇給に相当する5000NTドル(約153.23米ドル)~1万NTドル(約306.47米ドル)の追加収入を毎月得ていることや、毎月3万NTドル(約919.40米ドル)の副収入を得ている事務労働者も5%いることなどが今回の調査から明らかになった。

さらにこの調査で判明したことは、高学歴の事務労働者ほど、副業で高収入を得ることができるということである。修士号取得者では、副業からの収入が毎月2万NTドル(約612.93米ドル)を超える者が16.7%もおり、これは大卒や短大卒の者よりもはるかに高い。

104人力銀行によれば、修士号保持者の副業収入が高いのは、アウトソーシングプロジェクトに携わる者が36.1%、教育機関の講座等で教師を務める者が25%いるためである。104人力銀行では、通常こうした仕事の方が給与が高いとしている。また104人力銀行では、副業を持つ計画のある人が高い収入を得られるアウトソーシングプロジェクトを、いくつか挙げている。IT・インターネット関連の仕事では、平均給与がプロジェクト1件あたり18万7500NTドル(約2681.58米ドル)、計画立案業務では1件あたり6万5200NTドル(約1998.16米ドル)、デザイン・グラフィック関連業務では1件あたり4万8300NTドル(約1480.23米ドル)、著作・出版業ではプロジェクト1件あたり2万3600NTドル(約723.26米ドル)となっている。家庭教師では、教える科目により時給200NTドル(約6.13米ドル)~1000NTドル(約30.65米ドル)以上の収入を得ることができる。

104人力銀行では副業を求める事務労働者に対して、本業を優先することを忘れず、かならず十分な睡眠をとるようアドバイスしている。

事務労働者の喫煙率低下が判明

事務労働者の喫煙者数は減少しており、受動喫煙のリスクについても意識が高まっているが、レジャー産業や芸術・エンターテインメント産業で働く人々の間では、喫煙者数が依然として増加していることが、11月13日に発表された調査から分かった。

2006年の職場内喫煙全国調査によれば、事務労働者の喫煙者数は3年前から2.2%減少しており、禁煙者の数は2002年から1.2%増加した。

この調査がおこなわれたのは、衛生署(DOH)が立法院に対して、従業員3名未満の会社を除き全ての職場で喫煙を禁じる煙害防止法改正案の成立を求めていた時であった。

この調査に反映された受動喫煙に対する考え方は、この法案をさらに後押しするものと思われた。

この調査からは、受動喫煙の危険性を理解している人が増えていることが判明している。受動喫煙を迷惑だと感じない人の割合は36.3%に低下したのに対して、これを容認できないとした人の割合は32.1%に上昇した。

5777人から回答を得たこの調査によれば、喫煙者でさえ受動喫煙を好ましくないと感じており、受動喫煙に対しては男性よりも女性の方が敏感であることを示している。

DOHは、職場での煙害防止促進に懸命に取り組んでおり、国内の全ての企業がこの取り組みに参加することを望んでいる。DOHでは、国民がバイクに乗る際にヘルメットを着用し、車を運転する際にシートベルトを装着すべきことを理解している点を取り上げ、これと同様に仕事中は喫煙を控えるよう努めて欲しいとしている。

台湾で最初の反タバコ非営利組織(NPO)であるJohn -tong基金によれば、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデン、イタリア、アイルランドなど世界48カ国では、既に公共の場での喫煙を禁止する法律が制定されている。これらの国では国民の大多数がこの政策を支持しており、同基金としては、台湾の改正案も間もなく可決されるものと楽観視していると述べている。

大部分の事務労働者が孤独から抜け出したいと感じている

台湾の人材紹介会社である1111人力銀行が発表した最近のオンライン調査結果によれば、事務労働者の73%が11月には恋人を見つけたいと考えている。

さらにこの調査によれば、調査対象者の77.64%が、恋人がいないために孤独を感じて落ち込んでいると答えている。この調査は今年の10月16日~29日におこなわれ、有効回答数は1185であった。

111人材銀行によれば、事務労働者の多くは仕事に忙しく、冬の夜を共に過ごす完璧な恋人を見つける時間がない。

事務労働者のうち、仕事の環境やスケジュールのために恋人と出会う機会がないと答えた者は44.73%にも上ると、1111人材銀行では指摘している。

内政部が2004年に発表した統計によれば、台湾で25歳~39歳の人口は563万人、このうち独身者、離婚経験者、寡婦(夫)は264万人となっている。

参考レート

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