ビアジ法に関して再び左派が対立

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  • 国別労働トピック:2006年6月

CGIL(イタリア労働総同盟)とCISL(イタリア労働者組合同盟)は、その意見と立場が異なる2つの労働組合であって、このことは今も変わらない。しかし、ビアジ法(労働市場改革法)に関するこの2大労組の間の隔たりが、中道左派、つまり、困難な懐胎期にある政府や連合の各政治勢力にとって悩みの種になっている。エンリコ・レッタ(マルゲリータ党の経済責任者)は、首相府においてプローディを支持する勢力を召集するため「計画とビアジ法については論争に猶予期間を設けることが誰にとっても有用かもしれない。計画は存在し策定もされており、この問題について今日議論することは、より多くの問題を生じさせると思う。書かれたことに従い、議論は控えておくのが得策だろう」と呼びかけた。

この呼びかけは、CGILとCISLの総裁がビアジ法の今後について再び対立したことを受けてなされた。CGIL総裁のグリエルモ・エピファーニは、「2つの孤立状態が存在する。労働組合と企業だ。そして今日では労働に関する孤立の方が、明らかにより脆い」「交渉の場を設け、労働政策を改めることが必要である」と述べた。

これに対して、1週間前に公式にCISL新総裁となったフレーナ・ラッファエーレ・ボナンニは、「労働組合と企業は、ビアジ法のテーマに立ち戻り、この剣呑で不毛な雰囲気を上手く取り払うであろう。労使は、ともに労働問題を再定義する必要があり、その後初めて立法者が介入すべきである」と語った。したがって、調整が実を結ぶまでは、いかなる政策的な決定も不要であるとしている。

UGL(労働総連合)書記のレナータ・ポルヴェリーニは、「ビアジ法は、たしかに改善と補完が必要ではあるが」、パートタイムと外注化について「根本的に修正することが緊急課題である」と結論付けた。

連合(Unione:中道左派連合)(注1)の要である左翼民主党の計画責任者ピエール・ルイージ・ベルサーニは、「ビアジ法に関する連合(Unione)の計画は明確である。我々は、この問題や対立の焦点となりそうな他の多くの議題に関して、社会的な勢力との対話の場を設けると述べた。度を越えた不安定さの割合を小さくしなければならない。これは万人の要請である」と主張する。

「とりわけ重大な労働問題に関して、イデオロギー的な対立」をしないようにロジー・ビンディ(マルゲリータ党)は要求している。しかし、緑の党のパオロ・チェントは「5年間の右派政権によってとられた労働政策を見直す必要性」を主張するのに対し、拳の中の薔薇党のダニエーレ・カペッツォーネは、「ビアジ法を廃止することはばかげて」おり、このようなことをすれば、中道左派は「税制に関してすでに犯してしまった過ち」を繰り返すことになりかねないと断言している。イタリア共産党書記のオリヴィエーロ・ディリベルトは、カペッツォーネとの直接的な論争はしないとしながらも、「全員が署名した連合(Unione)の政府計画を履行する」としている。そして、これを守らない者は「破壊者である」と非難した。

このような左派の状況に対し、労働社会政策省の前政務次官マウリッツィオ・サッコーニは、次のようにコメントしている。「ビアジ法に関する左派内部での大きな混乱は、プローディ政権の将来に関する序章にすぎない」。

出所

  • Il messaggero紙(2006年4月20日付)

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