広東省で新「賃金支払い条例」が施行される

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  • 国別労働トピック:2005年6月

広東省では、省内の企業で規定期限内に賃金支払いを行わない企業を対象に、労働者への未払い賃金の50%から100%を賠償することを規定する「広東省賃金支払い条例」を5月1日から実施している。今回の条例は労働法では規定されていない賃金支払いの原則を補足し明確化するとともに、違反行為に対する厳格な罰則を設け条例遵守の徹底を目指している。新条例施行には、賃金未払いに対する地方出身労働者(民工)たちによる抗議行動の激化や労働者不足への対応の一環という見方もあり、企業にとってはコスト増が避けられないが、法治国家を目指す中国での「労働者権利保護」実践の第一歩として注目される。

新条例は、企業が労働者へ賃金支払いを適宜行うことを保障するために行政、法規等の観点から規制するもので、賃金未払いに対する企業の違反行為に対して、罰則を含め明確に規定するものである。2カ月以上賃金未払いの状態が続き、労働保障部門の規定による期限内での支払いを拒否した場合、強制的に裁判所への申請が行われる。また、同条例では規定期限内での未払いの場合労働者に対して50%から100%を追加的に賠償することを定めている。

さらに同条例では、法定休日労働に対して4倍の賃金を支払うべきことを規定として定めている。

また、労働者が職務上災害により求職する場合の賃金についても規定している。国が規定する治療期間内において、労働契約、集団契約あるいは国の規定する関連法規に従い、休職期間中給与が支払われる。その場合企業が支払う休職期間中給与の基準は最低賃金の80%を下回ってはいけない。

建築業おいて、請負下請けの扱いで賃金が未払いとなるケースが多いことは深刻な事態である。同条例では、一定の期日に満額の支払いを優先するという原則を明確にしている。すなわち、工事の請負者が工事経費の清算という扱いで労働者の賃金を未払いとする行為を硬く禁じ、請負者は労働者の賃金について立替払いを確実に行うことを明確に規定するものである。

特に、違反行為については厳密に罰則を定めている。同条例では、企業側の11の違反行為に対する行政処分を規定している。たとえば、企業が賃金支給表を作成し保存していない、現金をもって支払いを行っているが、賃金支給表を労働者に提示し、その証明を得るなど行為を実行していない場合などがそれであり、違反行為には、5000元以上1万元以下の罰金、さらにその法定代表者へ1000元以上5000元以下の罰金が科せられる。さらに、合法的な賃金支給制度について労働者に説明をしていない、通貨による支払いをしていない、解雇の場合当日に賃金の清算を行わない、長期の賃金未払いやピンハネ、最低賃金以下の賃金支給などへは厳しく処分を行うことを規定している。

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